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「唯一の答え」は、間違っている

10年以上前になるけど、情報技術者試験というのを受けた。ギリギリで合格したのだが、一度受けてみると、なにをどのくらい勉強すれば合格ラインに行くかはだいたいわかる。そこでアマゾンのレビューにその方法を投稿した。

・午前試験については、この本の前半部分を繰り返しやること。ただし余裕があれば、あの本もやっておくと万全。

・午後試験は、この本の後半部分とあの本をやればOK。

…てなことを書いたら、けっこうなアクセスがあった。アクセスがあったということは需要があったということで、みんな合格できる勉強法を知りたがっているんだな~と。

ただし、いまになってみれば、あんな風に「これだけでOK!」みたいに書いてしまってよかったんだろうか、と思う。勉強法を編み出すのも勉強のうちで、人に教わった通りにやってうまくいっても、応用は効かない。

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世間には、正解を教えようとしてくれる人がたくさんいる。SNSにも「この問題についてはこれだけでOK」みたいなことを言ってくる人がいる。

でも、それを信じるのは思考停止でもある。

そもそもある物事について、答えがひとつだけ、というのがおかしい。どんなものごとにもかならず正反対の見方はあるはずだから。

ほんとうに誠意ある回答をするのならば、AとBという正反対の選択肢を挙げて「あとは自分で考えてみろ」というのがいい。

あいまいな書き方になってしまったので具体例を出します。あくまで例です。

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先日、SNSで、「米国情勢についてはFOXだけ見ていればいい」という投稿があった。

FOXは共和党寄りである。しかし、そのようには書かれていなくて「FOXが正しい。左も右も関係なくみなさんFOXを」と書かれていた。

本人はほんとうにそう思っているんだろうし、「そうだそうだ!」と思いながら見ているからそうなるんだろうけど、げんみつにはバイアスがかかっている。

こう書くのがいいのではないか?

「FOXとABCの両方を見て自分で考えてください。できればばヨーロッパや中東やロシアのメディアも見てください」と。

こたえが1つだけならラクだし、とびつきたくなるのはわかる。逆にいろいろ出されたらめんどくさい。そして、そういうめんどくさがりの「需要」を当て込んでいるから、たった一つの答えが出てくるんだろう。

しかし、さいしょからひとつの答えしか与えられていないというのは、おかしい。答えは、自分でかんがえて選ぶものだ。

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