夢としての機能を果たしていない
吾妻ひでお『失踪日記』は、漫画家のホームレス生活が描かれているマンガである。主人公の吾妻先生は、マンガを書くのがイヤで家出をしている。そして、寒風の吹く中で寝て、「寒風の吹く中で寝ている夢」を見る。
寒風に吹きさらされる夢から目覚めると
寒風に吹きさらされていた
これでは夢としての機能を果たしていない(p.13)
夢がどういう機能をはたしているのかは分かっていないことが多いそうだ。しかし、現実とはことなるものを夢とよぶ以上、現実とおなじではこまる。
ぼくは現実に近い夢をみることが多くてこまっている。予知夢とか明晰夢といったとくべつなものではなくて、たんに現実で気になっていることを夢に見て、はなしを勝手に先に進めてしまう。
たとえば、先週はネットで連続ドラマを見すぎて夜更かししてしまった。しかし、朝、目が覚めると早寝した記憶がある。「昨晩は早寝したので、今朝は早起きしよう」などと思っている。
でも、よく考えると明け方まで起きていたのである。どうやら「早寝をした夢」をみて早寝をしたつもりになっていたようだ。こういうのがけっこうあって、日常が混乱するので困る。
この週末、妻は3日間旅行に出かけていないはずだったが、「旅行はやめた」といって急に帰ってきた。ぼくはやめた理由を聞こうとおもいながら、聞くのを忘れて眠りについた。だが、翌日になると、
メンバーにイヤな人がいたので行かなかった
と答えられた記憶が残っている。
しかし、あらためて聞いてみると
なんとなく気が進まなかったので止めた
と言われた。「メンバーにイヤな人がいたので行かなかったのではないか」と問うと、いい人ばかりだという。たぶん、ぼくが夢の中で勝手に答えを創作してしまったのである。
この程度ならいいけど、しごとを受けたのに断った夢を見たり、請求書を出してないのに、出している夢を見たりしたらこまる。
これまでにもそういうことがあったような気がするので、今は自分の記憶をあてにしないでパソコンで確認するようにしている。
noteにも書いたつもりになって、夢の中で書いただけの話があるかもしれない。
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