「ものまね」は愛
ものまねをやったことのない人はいないのではないか。しかし、マネをするということは他人の動きを自分の中に取り入れるということだから、あえて嫌いな人のマネをする人はいない。好きだからまねをしたくなるわけだ。
スキというほとでなくてもちょっと気になるとか、そうでないとまねる気にはならない。
しかし、気に入った相手が必ずしも有名人とは限らないわけだ。身近な人が気に入れば、その人のモノマネをやってしまうこともある。ぼくは高校時代に、ある英語教師の歩き方をマネしてけっこうウケていた。
しかし、このモノマネは高山先生の授業を受けたことのない人には通じないという致命的な弱点がある。現時点ではほぼ使い物にならない。
こうして、学生時代の恩師のモノマネを「余計な特技」として抱えている人は多いのではないでしょうか。
他には、いぜんテレビにちょくちょくでていたある霊能者の方のマネをするのが得意だった。その人はマジメな人だったが、まじめさが災いして数年前にちょこっと炎上し、公の舞台から姿を消してしまったので名前は伏せる。
ともかく、その人は話下手だった。ロケ現場などではどうしても話がグダグダになる。グダグダしてくると、「さあ、ではいってみましょーか」と「さあっ」をかなり強めに言って、いきおいだけで話を強引にまとめるのが常だった。
ぼくはあの「さあ」がスキで、彼のDVDをみてはマネをしていた。なのでぼくのマネは「さあっ」だけである。しかし、「さあっ」だけは自信がある。声の質や勢いまであますところなく再現している。「さあ」の世界選手権があれば絶対に優勝できる。
だが、マイナーすぎて人に伝わらない。完璧に似ているのだが、ほめてくれる人がいないのは悲しいものである。
「細かすぎて伝わらないモノマネ」というTVがあるけど、これは、マイナーなモノマネの悲しみから生まれたものだと思う。
ちなみに稲川淳二さんのことも好きなので、がんばってマネをしていた時期があるんだけどあまり上達しなかった。しかし、ある程度はやれるようになったので、適当に稲川さんっぽく「こわいな、こわいな~」と言っている人を見ると「ふっ甘いな~」などと思ったりしている。
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