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なんでもプロ化できる時代

「社会運動のプロ化」について。

アメリカ版『ちびまる子ちゃん』である『シンプソンズ』については昨日も触れたけど、あのあと、すごーく考えさせられるエピソードを見たのでもういちど話題にしたい。

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「シンプソンズ」の主役は、一家のお父さんであるホーマーだ。

「ちびまる子ちゃん」でいうとヒロシのポジションに当たる。

ややこしいので以下、かれのことをヒロシと呼ぶ。

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ヒロシは原子力発電所に勤めていたのだが、ヘマをやらかしてクビになる。

再就職活動をがんばるんだけど、どこも相手にしてくれない。

自信を失ったヒロシは川に身を投げて死のうと思う。

ところが飛び込もうとする寸前に、クルマにひかれかける。

そこではたと気づく。

「この道が危ないのは道路標識がないからだ!

よし!人生の目標が見つかったぞ!

この道に道路標識を作ろう!」

そこで簡易裁判所に掛け合ってみたところ、あっさり承認されてしまうのである。

これまでひたすら否定されてきたヒロシが、いきなり大きな成功体験を得るわけだ。

かれは、道路標識を立てることに熱中する(プロ化)。

やがて町中に道路標識があふれ、ヒロシは市民をまもるヒーローとしてマスコミにとりあげられて、多数の支持者を得る。

しかしこれだけではおわらない。

「この町で一番アブないのは、道路ではなくて原発だ!」

ヒロシは大量の支持者をしたがえて、自分をクビにした原発に乗り込むのである。

事態を重く見た原発経営者は、ヒロシを抱き込んで事態の収拾を図る。

クビになった技術職よりもさらに高給の「安全責任者」のポストを差し出す。

ヒロシはその職を受け入れて元の職場に復帰し、市民の反原発運動は終息するのだった。

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じっさいはもうちょっと笑えるコメディになっているんだけど、あらすじだけを抜き出すと、こういうエグイものである。

ヒロシは、ある意味「プロ失業家」だ。

YouTubeに「プロ失業家」というのがいるのかどうか知らないけど、いてもおかしくはない。

いまは、なんでもプロにできる時代である。

それについて、どうのこうのいう気はない。

ただし、上記のハナシで「ちょっと気持ちわるいな. . .」 と思う点がある

ヒロシは、社会正義のために活動していると自分では思っているけど、じっさいは他人を巻き込んで就職活動をやっているのにすぎない。

なにをプロ化して飯を食うのも自由だけど「批判のプロになって飯を食うのはイヤだな・・・」とちょっとおもった。

ただし、ぼくがイヤだと感じただけで、それをやっている人に文句があるわけではないです。

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