なぜ海外のニュースを投稿するか
たしかハフポストだったと思うけど、米国入国時のセキュリティチェックについての記事が掲載されたことがある。
これですね。17年の記事だ。
「もしあなたの飛行機のチケットに「SSSS」と印刷されていたら...大変なことになるかもしれない」
内容は、米国行きのチケットにXXXXと記されていたらあなたがテロの危険人物と識別されていることを意味し、入国時のセキュリティチェックが厳重になるというもの。
記事そのものもおもしろいんだけど、注目していただきたいのはコメント欄である。
>ちょっと運が悪かっただけのことです。
>一般人にとっては、“不幸な宝くじ”に当たった感覚ですね。
>少し手間なだけで大したことはありません。
さわやかなコメントばかりならんでいるのが、印象的だ。
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一方、たとえばヤフーニュースで
「韓国、対日対応策を検討 「徴用工」資産現金化問題」
という記事のコメント欄(3030件!)を見てみると、雰囲気がまったく異なるのがわかる。
冒頭の辺真一氏のコメントだけはまあフラットだけど、そのあとには感情をぶつけた投稿ばかり。
>徹底的にお願いしたい。韓国人の目が覚める措置を。
>決定的に両国関係が断絶することを切に願います。
>この様な発言は断じて許すまじ徹底的にやりましょう
...なんというか、よんでいて息苦しくなる。
もちろん、いらだちはわかりますよ。
しかし、ここまでのちがいはどうして起こるのだろう?
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ハフポストのコメントがいつもさわやかなわけではない。これはたまたまだ。
記事に反応した人の中に、仕事で日本と米国の行き来を繰り返している人がおおかったからだろう。
つまり、つねづね異文化にはさまれて現実的な対処をせまられている人、複合的な視点をもっている人がおおかったからだと思う。
ハフポストの記事にも1人だけ「こんな人種差別をする国に旅行するのはやめましょう」と書いている人がいるが、さきほどのヤフコメ欄はこの手のコメントばかりである。
「やめましょう」といってやめられるようならハナシはカンタンだ。しかし、現実に渡米しなければならない人は渡米しなければならない。
一見むずかしいことを言っているようで、じっさいは怒りを吐き出しているだけ。「アメリカキライ」と言っているだけで、こどもの意見でしかない。
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この落差は、たぶん「視野の広さ」と関係がある。
ヤフコメ欄でも、辺真一氏の意見はバランスがとれている。それは、辺氏が日本側の見方と韓国側の見方からをかねそなえているからだ。
視点を変えてみよう。。。
日本と韓国はずいぶん長いこともめているが、世界では両国のちがいがわかる人の方が少ない。あたりまえである。
あなたはバルト三国の位置関係を正確に言えるだろうか?世界史的に見れば、日韓よりもはるかに重要な場所に位置している国々だ。
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ぼくが米でイリノイ出身のエドとルームメイトだったとき、一緒にテレビで『燃えよドラゴン』をみたことがある。
見終わったあとでエドは「君の国では...」と感想を言ってきた。
「君の国」といわれてもぼくは香港には行ったこともない。世界の見方はこの程度なのだ。
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ぼくは、日々ツイッターに海外ニュースを投稿しているんだけど、なるべく「国内メディアではほとんど報道されないけど、知ってみれば興味深いようなニュース」を選べればと思っている。
おせっかいなようだが、読んだ人の視点がほんのちょっとでも広がったりズレればいいなあ、という気持ちが強い。
もうちょっと風とおしをよくしたい。
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