見出し画像

女子高生にとってキケンな街は、オヤジにとってもキケンな街なのか

街というのは生き物である。しらないうちにどんどん変わっていく。

かつて危険と言われていた新宿歌舞伎町も最近はそうとう「安全」になったと聞く。ストリートビューで見る限りではたしかに「安全」で清潔な街に見える。

先日、「トー横キッズ」というのを取り上げたけど、よく考えてみれば、歌舞伎町というのはそもそも中高生のキッズが出入りできる場所ではなかったから「危険」だったのである。

歌舞伎町にたむろする中高生が話題になったということ自体、歌舞伎町がそうとう「安全」になったということだと考えられる。

この著者によると「トー横」キッズはもはや存在しないそうだ。昨年マスコミでさわがれてから子どもたち他の場所へ移っていき、グループも細分化されているので、ああいうわかりやすい生態としてとらえることはもはやできないという。

いまのトー横は、若い子の観光場所みたいになっているらしい。著者はいう。

私が歌舞伎町に足を運び入れた2015年には、こんなことはあり得なかった。
歌舞伎町は普通に危ない場所だと思っていた。

ここで「ちょっと待てよ」と思うわけである。

この著者の佐々木さんというのがトー横キッズを広めた張本人なんだけど、プロのジャーナリストではなくて、本人がまだ女子大生である。

つまり「若い女の子」なのだ。若い女の子の視点で、2015年の昔と比べたら2021年の歌舞伎町が「安全」だと語っている。

一方、ぼくのイメージしている歌舞伎町は2005年である(笑)。

さっきから「安全」と何度も書いてみたが安全とはいったい何だろう。女子大生にとっての安全と50代男性の安全はそうとうちがうのではないか。

女子大生の安全とは男に襲われないということだと思うけど、ぼくにとっての安全とはコレステロール値が下がるということだ。

そして、ぼくが歌舞伎町で襲われる危険を感じたことがことがないように、女子大生はコレステロールの危険を感じたことなどないはずである。こういう根本的な「安全/危険」の定義の違いを無視して

かつて危険だった歌舞伎町がいま安全になった

などとかくのはものすごーく無意味なのである。

ちなみに、2005年の歌舞伎町ではときどき東横インに泊まっていたんだけど、あのころすでに何の危険も感じなかった。

東横インは、安くて、清潔で、朝ごはんもタダでたっぷり食べられて、全国どこにでもある。有料会員にもなっており、メルマガも取っているのでかなりのファンと言えるだろう。

新宿歌舞伎町の東横インも、ホテル自体はとてもよかったのだが立地はよくなかった。

酔いつぶれて転がっているホストや呼び込みをよけて歩きながら、新大久保の手前まで歩いていかなければならなかったので、シャワーをあびて寝たいだけの人間にとってはやたら疲れるのが歌舞伎町だった。

というわけで、ぼくにとっての2005年の歌舞伎町はうるさくて疲れる街だったけど、しかし危険を感じた記憶はない。

にもかかわらず、なぜか頭の中に「歌舞伎町=危険」という図式が刷り込まれている。多分、やくざ映画、やくざマンガ、週刊誌などを通じて、なんとなく出来上がった虚像なのだろう。

その虚像を疑うことなく、トー横キッズの記事を読んで「歌舞伎町は危ないなあ」と思っていた自分がおかしい。

さらにいえば、さらに、この2年で世界における危険な場所のイメージは変わった。2020年から2021年にかけては、コロナウイルスがまん延している場所が危険な場所だった。

そういう意味では、歌舞伎町よりも近所の保育園のほうが危険だったかもしれないのである。「歌舞伎町=危険」と思いこんでいたのは、いったいなんだったのだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?