コトバによる汚染
近所にうるさいボーソー族がいる。一台だけど、おなじ道をくりかえし走り回るのでかなりうるさい。
ただし、一台なので、厳密には族(ぞく)ではない。なので我が家では「暴走人(ぼうそうにん)」と呼んでいる。
例)今日はボーソー人がうるさいな~
これを声に出して言うだけで、やや気分がスッとする。見下しているようなきもちになり、心なしかエキゾーストノーズがチャチに聞こえてくるから不思議だ。
ことばにはそのような力がある。
***
「某野球部で大麻汚染」というニュースもこれと似ている。
じっさいは「汚染」ではなくて、葉っぱを吸っただけだ。多少は空気を汚すけど、タバコほどではない。しかし、会社の喫煙所を「ニコチン汚染所」と言ったら急に汚らしく感じるだろう。それと同じで、なんか気の毒だ。
書き手としてはクリックしてもらえなければ仕事にならないわけなので、「汚染」とついついキャッチーな書き方をしたくなるのもわかる。
しかし言われる側はメーワク極まりないよな~。汚染と言われるとキタナク広がっているイメージだけど、たんに興味本位でやってしまっただけかもしれない。それをトモダチになんとなく勧めて、盛り上がっただけなのかもしれない。
それでも「汚染」である。「汚染」のイメージで全国にニュースが拡散した。有毒物質が流れ出して生態系が破壊されているようなイメージだ。これまで野球にささげてきた青春が、水俣病や原油流出といっしょになってしまった。ぬぐっても消えないシミができた。
もちろん、やったことはいけない。しかし、手加減というものがなあ……。将来をつぶすようなことかな。こっちのほうがはるかに深刻な人生汚染ですよ。。。
いやはや言葉の暴力ってすごい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?