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スガでてこい!カツ丼を持ってこい!

「岡目八目(おかめはちもく)」というコトワザがある。これは、囲碁からきており、対戦しているAさんとBさんよりも、よこで見物しているCさんの方が8目分先が読めるという意味である。当事者よりも見物人のほうが冷静に状況を判断できるということだ。

テレビのクイズ番組をみていると「なんでこんなカンタンな答えがわからないんだ?」と思うことがあるけど、いざじぶんが回答者になるとアセってこたえが出てこなくなるそうだ。あれも岡目八目である。

占い師もおなじだ。道行くひとをみて「あの人は死相が出てる」などというのはカンタンだが、自分の顔に死相がでてもわからない。当事者になってしまうと、冷静な判断ができないのである。

当事者はきもちによゆうがないから、冷静な判断ができない。ぎゃくに言えば、冷静な判断ができない人は、きもちに余裕がないということである。

ぼくの見るかぎり、不安の強い人、コワがりな人はきもちに余裕がなくなりやすい。そして、事実をムシして願望に「スガる」ことが多い。これは俗に「スピリチュアル系」と呼ばれる人たちによくみられる傾向だ。

もちろん、ぼくだって願望は抱く。ちなみにことしは西武ライオンズが三連覇するという望みを抱いていたが、みごとに打ち砕かれた。ざんねんである。ただし、この望みにスガっていたわけではない。ガースーってはいなかった。

きもちに余裕のない人は望みを「抱く」というよりも「スガる」。かりに西武三連覇の願いにスガっていた人がいたとすれば、いまごろは猟銃を持って日本プロ野球機構の事務所にたてこもり「今年のペナントレースには不正があった。西武優勝を認めなければ人質を殺す。スガでてこい!それからカツ丼をもってこい」などとわめいていることだろう。この人は一見コワモテだが、事実を受けとめることのできないコワがりさんである。

トランプマニアにもそういうところがある。日本人の中にも、いまだにトランプが救世主だと言い張る人がいるが、そういう人をみていると恐怖耐性(きょーふたいせい)が低い。コワがりだ。「これから世界中でいろいろとタイヘンなことが起こるかもしれない」という可能性から目をそらしている。「救世主があらわれてイイ世の中がやってくる」というストーリーに盲目的にスガっている。

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