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おいしい酒

今日は大したことは書いていません。どうせ飲むなら酒は「おいしい酒がいいな」というだけです。おいしい酒とは上等な酒という意味ではなくて、きもちのいい酒という意味。

一方で「悪い酒」というのもあるでしょう。これもまずい酒という意味ではなくて、飲み方が悪いということで、酒癖(さけぐせ)といってもいいかもしれない。

悪い酒を飲む人は、だいたいいつでも悪い酒を飲む。だれでもうっかり飲みすぎてしまうことはあるが、酒ぐせの悪い人の飲み方は毎回悪い。

ぼくの周りにも悪い酒の飲み方をする人が数名いるのだが、全員に共通するのは、量の調節が効かないということである。

飲み始めたら、おかしくなるまでひたすら飲む。

おかしくなる、というのは記憶をなくしたり、ろれつが回らなくなったり、喧嘩を吹っ掛けたり、マスターに絡んだりすることだ。毎回必ずそうなるのである。必ず、歯止めが効かなくなる。

「酒乱」という言葉があてはまるかもしれない。まさに「乱れる」酒だ。こういう人は、飲み始めたらなかなか放してくれないので困る。どうしてああなるのかな。

いま検索してみたところ、酔いには「単純酩酊」と「異常酩酊」というのがあるそうだ。

ぼくが悪い酒と言っているのは、異常酩酊と呼ばれるものである。

とにかく、そういう人にさそわれたら断るにかぎる。しつこいし、最後に必ずと言っていいほどめんどくさいことになる。それにしても、そういう人に限って、別れ際にだいたい

今度一杯やろうよ

とか

また、飲みに行こう

などと必ず言うがなぜああいうことを言うのだろう。

ふつう別れ際に

今度ラジコン飛ばそうよ

とか

次回、切手を集めようよ

などとは言わないのに「飲みにいこう」だけは許されるというのはふしぎだなあ。そういや、

今度ゴルフ行こうよ

というのもありますね。昭和のオヤジ文化のなごりなのだろうか。

おいしい酒

こういう風に書いているとまるで酒嫌いのようだがそんなことはなくてぼくもずいぶん飲んできたのだが、酩酊して帰り道がわからなくなったりしたことはない。

ぼくは『レモンハート』というマンガが20代のころから好きで、だからああいう飲み方が好きである。レモンハートとは作中に出てくるバーの名前なんだけど、世界中の酒がそろっていて、酒にうるさい連中の集まる店である。

それから『深夜食堂』というマンガも人気があるけど、あの店も「お銚子三本まで」というルールがある。『レモンハート』でも『深夜食堂』でも、おいしい酒には暗黙のルールがあり、それは

適度なところで切り上げる

ということだ。ぼくも適度なところで切り上げるおいしい酒は大好きだ。逆言えば、適度なところで切り上げることのできない人は病気なので、医者に相談した方がいい。


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