フェイクニュースのレベルが思ったよりひどい
昨日、ツイッターでおかしなリツイートが回ってきた。新型コロナウイルス対策のマスクに関するものだ。
いわく、「マスクを着用すると酸欠になって脳細胞が死ぬので着用してはいけない」とのこと。ドイツ人の博士が主張しているそうだ。
ここでわらってはいけない。「アハハ、じゃあ原監督も工藤監督も日本シリーズでさらに脳細胞が死んじゃうな~」などと笑うのは負け犬の遠吠えというものである。
よく確かめもしないでアタマからバカにするのは、ぼくがいちばん嫌いなことだ。もしかすると、真実かもしれないではないか。
まずはどういう実験でどのようなデータが出たのか確かめよう。ことによっては考え方をあらためなければならない、と思いなおして論文を探したのだけど、これが1時間探しても出てこないんだな~。
Margareta Griesz-Brissonという医師が主張しているらしいんだけど、彼女は、マスクをつけると「疑いなく(without a doubt)酸欠になります。酸欠になると脳細胞が死んで・・・」と言っているだけ。酸素が欠乏したら死ぬのはボクにでもわかる。それで死なないのは麻原彰晃くらいである。
問題は、ほんとうに「疑いなく」酸欠が起きるのか、起きるとしたらどの程度起きるのかであり、そこを実験で確かめるのがあんたら科学者の仕事だろ?とおもうのだが、彼女はデータをださない。
かわりに、デモや街頭演説にとびまわっている(YouTube)。
ちなみに、先週「ネイチャー」誌にマスクの有効性を示すウェブ記事が掲載された。14本の論文が紹介されており、すべて論文へのリンクが張ってある。どういう調査(実験)を行って、どういうデータが得られたのかわかるようになっていて、うちの2本はマスクの有効性は不明と主張している。
科学者とは、実験をする前に「疑いなく」などとは言わない人たちだ。
一方、この博士の主張は、グローバルリサーチというこれまた怪しげなサイトに載っているのだが、このサイトは医学サイトではなくて、「米国とNATOの戦争」といったことが書かれているところだ。
めんどくさいからハショるけど、ようするにタチの悪いフェイクである。
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いい機会なので、こういうウソを拡散する人は、どういう意図でやっているのだろうかと考えてみた。答えは2つしかない。
①フェイクと気づいていない(だまされやすい)
または
②フェイクと気づいたうえで拡散している(害意がある)
どちらかしかない。①のばあいは、「どんまいどんまい!まちがいはだれにでもあるさ」と言いたい。
問題は②のばあいだ。なぜ、害意を世間に向けて発散するのだろうか?ぼくが思うのは、たぶん他の犯罪と同じだろうということ。つまり、日ごろたまったイライラを、世間へ向けて発散しているのだろう。
SNSでウソをばらまくのはあまりに簡単だ。無人の野菜販売所から野菜を盗んでくるくらいカンタンである。そして同じくらい恥ずかしい。
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