見出し画像

遠い昔、はるか彼方の銀河系で

映画『スター・ウォーズ』は全シリーズのオープニング文句が同じだ。

A long time ago in a galaxy far, far away....
(遠い昔、はるか彼方の銀河系で)

それからジャーン♪と音楽が鳴ってスタートである。毎回、判で押したように同じだ。

「判で押したように」というのは大事なことだと思う。くりかえしは長寿番組にはかかせないことだ。ぼくもなにか考えようかな・・

パイロットはワタシ城達也デス

みたいなやつ。さて、今日注目したいのはそのオープニングの一部である。

A long time ago in a galaxy far, far away....
遠い昔、はるか彼方の銀河系で)

ぼくがこれを初めて見たのは小学校6年生のときの『帝国の逆襲』だったが、その時点で違和感を覚えた。

なぜ遠い昔なのか?スペースシップが飛び回りワープするのは遠い未来ではないのか?

いまでも疑問に思っており、そこで今日、この記事を書くために検索してみたらこういう答えが出てきたのだった。

なんとルーカスは当初、舞台を33世紀の天の川にある地球以外の星に設定していたのだ。(中略)。何度も脚本が書き直され、そのどこかのタイミングで33世紀の設定はなくなり(中略)結果として、SF映画にありがちな未来を描く作品とは一線を画す存在となり、世界中の人々に愛されるスペースオペラへと成功したのだった。「TVGroove

つまり「SF映画にありがちな未来を描く作品とは一線を画す」ためにあえて過去にしたということである。

イメージとしては、アイザック・アシモフの『銀河帝国の興亡』シリーズのSFっぽさを避け、ワーグナーの『ニーベルングの指環』っぽくしたかったのだろう。

それはわかるが、いまだに抵抗感をおぼえる。

ハリソン・フォード演じるハン・ソロ船長はオンボロ船に乗っている設定だ。しかし光速ワープできるミレニアムファルコン号はランボルギーニよりフェラーリよりスペースXより大金持ちの乗り物に見える。

そして、このルーカスの「遠い昔」設定はその後のさまざまな作品に影響を及ぼしている。最近もマイクロソフトのゲーム「ヘイロー」をやっていてそう感じた。

ヘイローは人類が巨大遺跡に遭遇するという話である。数千年前に作られた謎の異星人によるこの巨大遺跡にはおそるべきパワーが秘められており、人類と敵はそれを巡って争うのだ。

日本で言えばガンダムの生みの親である富野由悠季氏の『伝説巨神イデオン』もそうだ。ある惑星で人類と敵が戦っているところで、すでに滅びた文明の遺跡が発掘される。

これがイデと呼ばれる強烈な力を発揮するロボットであり、人類と敵を両方とも破滅に導いてしまう。

共通するのは「一番優秀な文明はすでにはるか昔に滅びた」という設定である。そしてこれらの作品が創られたのは東西冷戦のころだ。

ぼくは、こうしたストーリーに、アトランティス文明というかレムリア文明というかそういう現代文明を凌駕したナゾの超古代文明をぼんやりと前提して、閉塞した現在を眺めているような雰囲気をおぼえる。

レムリアやアトランティスを学術的に肯定する気も否定する気もないが、ポップカルチャーはすでに受け入れているなと感じる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?