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愛憎のパワーゲーム

「恋愛マンガや恋愛映画にまったく興味がない」という意見を最近ちらほら耳にした。ぼくじしんは熱心なファンではないが、スキかキライかと言われればスキなほうだ。

で・・・ここ1か月くらい、恋愛ものはどういうところがおもしろいんだろう?とぼんやり考えていたんだけど、ある程度考えがまとまってきたので書いてみる。ただしそんなに詳しくはありません。

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「興味がない」という人の意見で多いのは、あんなのはウソッぱちだからというもの。ラブなどキレイごとにすぎない。

たしかにそのとおりで、ウソッぱちである。アクション映画だってウソッぱちだけど、恋愛ものの方が日常生活に近い。その分、自分を投影して、あこがれてしまいやすいという面はあるだろう。

何度も書いているけど、ぼくは高橋留美子『めぞん一刻』という昭和のラブコメが好きで、わかいころは、美人のヒロインである響子さんにあこがれつつ読んでいた。

でも、あれから30年以上たち、結婚のリアルを味わいつくしたあとになって読んでもやはりおもしろい。

それは、愛憎のパワーゲームというウラの戦いがおもしろいのだと思う。ビジネスやスポーツなどがオモテの戦いだとすれば、恋愛はウラの戦いである。ラブの戦いは、つねに非公式なところで、赤の他人同士のあいだにふってわく。

『ローマの休日』だって表向きは、プリンセスと新聞記者。しかし、それとは無関係にウラの戦いが起こる。

オフィスラブなども典型で、みんなに明かせないところで、どうにもならない力関係が発生する。しかも、戦いは水面下でダイナミックに展開し、ついには表ざたになって全人生をリセットしてしまうのか~というギリギリまでいく。その不自由で切ない感じを楽しむといいますか……『マディソン郡の橋』などもそうですね~。

不倫モノだけでなく恋愛モノはすべて水面下で進行する。関係者全員に知れ渡った時点である意味ゴールであって、トイレで隠れて吸わないとウマくないタバコのような味わいだ。

それをスキャンダルとしてではなく、本人目線で感情移入しつつ観戦できるのが、他のジャンルにはないおもしろさなのかなあ~。

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