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町の中心は東から西へ移っていく

ぼくがうまれそだった田舎町では、町の中心が数十年かけて東から西へと徐々に移動している。昭和40年代までは東側が中心地だったが、ぼくが育った昭和50年代にJR駅の周辺、つまりちょうど実家のあるあたりに中心が移ってきた。そのころ駅のそばにできた大型スーパーは入口を東に向けて立っていた。

やがて西側に新興住宅地が広がり、町の中心はさらに西にうつっていった。いまではそのさらに西側に宅地が広がり、そこに大型ショッピングモールができたので、そこが町の中心になっている。

おととし帰省したら、かの大型スーパーもついに建て直し、こんどは入口を西に向けて立っていた。かつて目抜き通りだった東側は搬入口になり、ダンボールが積み重なっている。これも一種のドーナツ化現象だといえる。宅地が西に広がるにつれてかつて中心部だった東側がさびれているのである。

こういうことは地球全体でも言える。かつて世界の目抜き通りは大西洋だった。まずは通りの東側つまりヨーロッパが栄えたが、海を渡った人たちが通りの西側(アメリカ東海岸)を世界の中心地に変えた。だが、やがてアメリカの宅地もどんどん西へ広がっていき、いまGAFAとよばれている企業はぜんぶ西海岸にある。さらに経済の中心は太平洋をわたって、まずは日本、韓国、台湾などが栄え、やがて中国の台頭により21世紀は太平洋の時代だと言われるようになった。これは、ぼくの田舎で町の中心が東から西へ移っていったのとなんのちがいもない。

では、このあとどうなるんだろう?これまでのながれ通りにいくならば、中心はさらに西へ移動していくと考えるのが自然だ。ならばまずは東南アジアが栄えて、それからインドや中東へと繁栄の中心が移るのだろう。いずれインドが台頭してくるのはまちがいないと言われているし、その後に中東の時代が来ることも十分に予想できる。アメリカは知恵を絞ってながれを逆行させようとしているが、自然のながれには勝てないだろう。長年もめにもめている中東が世界の中心になることなど、今は想像もできないが、想像できないことが起こるのが現実というものだ。

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