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本当の友達とは?

酒好きは、「焼酎が好き」と言うと好感を持たれるけど、「ワインが好き」というとお高くとまっているとかメンドクサイやつだとか思われがちだ。

さいわいぼくは「焼酎が好き」なほうなので苦労は少ないが、「ワインが好き」という人に同情はしている。

ちなみに「ワイン"も"好き」な人にはかくべつ同情しない。ぼくだってワイン"も"好きだが、焼酎"も"好きであり、そういう人は苦労しない。

ただし「ワインが好き」だけどは「焼酎はちょっと・・」となると誤解されやすくなる。元ジャイアンツの桑田真澄さんみたいなタイプといえばいいだろうか。

さて、今日は酒の話をしたいのではなくて、ドラマの話だ。

ぼくは映画は好きだが、「ドラマはちょっと・・」というタイプである。こういうタイプは「ワイン好き」みたいな扱いを受けやすい。気取っていると誤解される。

ただし、ドラマの苦手な僕にも好きなドラマはある。その1つが2005年に放映されたフジ系の『人間の証明』だ。

『人間の証明』というと松田優作さん主演の角川映画が有名だが、もちろんあれもいい。森村誠一氏の原作も、中学時代に読んだ。

ただし、そういう『人間の証明』好きとしていわせてもらうと、角川映画よりも、フジのドラマのほうが数段優れている。

ただし、今日はそのすばらしさを力説したいわけでもなくて、そのうちの1シーンに触れたいのである。

このドラマの本筋は、竹ノ内さん演じる刑事と、松坂慶子さん演じる犯人の一騎打ちにあるのだが、一方で、風間杜夫さんと國村準さんのサイドストーリー的なものがある。

失踪した妻(横山めぐみさん)を探し回る夫が國村さんで、横山さんの浮気相手が風間さんだ。

つまり間男(まおとこ)と寝取られ夫の関係にあるわけだ。

しかし、この2人が力を合わせて妻(愛人)の行方を捜しまわる。スターウォーズのC3POとR2D2みたいな狂言回しである。

そして、二人はいがみあいながらやがて心を通わせ、クライマックスでは生死を共にする戦友のような関係になっていく。

しかし、やがて犯人が捕まり、二人が別れるシーンがおとずれる。「また飲みに行こう」などといってさりげなくわかれるのだが、そこでテロップが流れて

二人は二度と会うことがなかった

と出るのだ。

作中ではさんざん苦楽を共にした間柄なのだから親友になってもいいはずだが、そんなことにはならない。犯人が捕まったらぷつっと縁が切れる。

これは職場の人間関係と同じようなものだと思った。
最近こういう記事を読んだ。

冒頭を引用する。

「会社を辞めてから友達がいなくなった。どうすればいいか?」

この質問は、まず、前提の認識が違っていると思います。「友達がいなくなった」というのは、元は「友達がいた」という前提です。しかし、こうした質問をされる方は大抵「そもそも友達なんて元からいなかったのに、それに気づいていない」場合が多いのです。

『人間の証明』の風間さんと國村さんは、共通の目的で手を結んではいたけれども、本当の友人ではなかった。

事件が解決すると(=つまりプロジェクトが終わると)二度と出会うことはない。

これと同じく、会社で付き合っている人の多くは友だちではない。会社員の多くがここを誤解しているから、退職後に孤独になってしまうのだ。

それを一行のテロップで示した『人間の証明』は本当に優れたドラマだといまさら感心する。

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