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うまくいかないからおもしろい

スポーツの世界では、スター選手がライバルチームに移籍すると、元いたチームのファンから憎悪を向けられるということがよくある。

サッカーのスペインリーグで、FCバルセロナからレアルマドリードに移籍したフィーゴ選手などがその典型だ。

ぼくの応援している埼玉西武ライオンズでも近年そういうことがあった。浅村栄斗選手が楽天イーグルスに移籍したときのこと。

浅村選手の場合は、さらに「疑惑」が絡んでいる。プロスポーツの世界では他団体に所属している選手への事前交渉が禁じられているわけだが、下交渉があったのではないかという疑惑がファンの怒りを煽った。

事情は、この記事(“功労者”が“裏切り者”と呼ばれる時)に詳しいんだけど、決定的な証拠はない。ただし、ぜんぶをまとめて考えあわせると、ぼくですら「事前交渉は、たぶんあったんだろうな……」と思わされる。でも、筆者も指摘する通り、制度を変えないとどうしようもない。

そこで怒りを爆発させようとは思わないけど、これはファンとしての気持ちが足りないのかもしれない。ある心理学の調査では「熱心なファンほど、他チームのファンに暴力を加える傾向がある」とのことだ(この記事は以前ツイッターにアップした)。たしかに、本塁打王へひた走る浅村選手の姿を見ていると「西武にいてくれたら軽く優勝できていたのになあ~」と思わないではない。

一方で、相手(浅村選手)の立場で考えてみると、みじかい現役生活の中で、少しでも条件のいい環境に移りたい気持ちもわかる。ファンにとってのプロスポーツは、来年も再来年もあたりまえのように続いていく娯楽にすぎないが、選手にとっては1年1年が人生の賭けだ。ならば自分の選んだ場所でのびのびプレイしてほしい。

浅村選手は、大事な場面で自分に打席が回ってきても、つなぎ役に徹することができる強打者だ。今日も、大事なところで4球を選んで大量得点に結びつけた(今日はやらなくていい)。この姿勢は、山川選手などにうけつがれているように見える。大事な置き土産を残していってくれたことに感謝しよう!(今日は打たないでいい)。

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