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他人は自分を映す鏡

ブッシュ元大統領(息子のほう)は、「あなたはこういう人ですね」と言われるのがキライなのだという。ネット記事で読んだ。

「じぶんがどういう人間かはじぶんで決める」のだそうで、まわりのだれにも「あなたはこういう人だ」と言わせない。コメントしようとする人は制する。アメリカ大統領まで上り詰めるだけあってやり方が毅然としている。

一方、ぼく自身は、「こういう人ですね」と言われるのはわりに好きである(笑)。自分の容姿は鏡に映してみなければわからないのとおなじで、性格を知るにも第三者の意見を聞くのが有益だと考えている。他人は自分を映す鏡である。

だから、性格判断や、本格的な占いなども役に立つと考えているし、親しい人が自分のことをどう思っているかを聞くのも面白い。

これまでで一番おもしろかったエピソードをあげてみる。

ぼくは、学生時代に映画を見まくっていたんだけど、いちばん親しかった友人は、映画にまったく関心のない人だった。しかし、ぼくは彼をあちこち連れて回って一緒に映画を観ていたのである。ただし、いくら映画を見せても、関心を示さなかった。

そんな彼があるとき「これは自分のための映画だ」といきなりさわぎだしたことがある。ヴィム・ヴェンダース監督の『アメリカの友人』という作品。

ヴェンダースはドイツの監督で、芸術的な色彩が強い。そういう映画を、ふだん映画を観ない友人が「ぜひ見てほしい」とプッシュしてきた。これはたいへんなことだと思ったので、さっそくビデオを借りて見てみたのである。

あらすじは以下のようなものだ。

主人公はまじめな額縁職人だが、不治の病におかされている。そこへカーボーイハットをかぶったアメリカ人詐欺師(デニス・ホッパー)がやってくる。ホッパーは素人の殺し屋をさがしており、余命いくばくもない額縁職人に目をつけ、マフィアを殺させる。その後、マフィアとやばい関係になり、二人で協力してさらに人を殺す。

という話である。観終わった後、ぼくは考えた。

なるほど、友人は、まじめな額縁職人に自分を重ね合わせているのだな。それはわかる。
↓↓↓ まじめな額縁職人 ↓↓↓

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だとすると、このまじめな職人のまえにとつじょ現れ、かれに殺しをやらせて、人生をかき回し、闇の世界にひきこんだ頭のおかしいデニス・ホッパーはいったいだれなのであろうか。
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ぼくしかいないのであった。
↓↓↓ 主人公に殺しをやらせる詐欺師がこいつ ↓↓↓

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ぼくの友人にとって、ぼくという存在は人生をかき回す『アメリカの友人』だったのである!なってこったい。。。

とはいえ、主人公は不治の病に侵されていた。それまでは退屈な人生だったが、とつじょ殺し屋になってむちゃくちゃやった挙句に、解放感に浸りつつ死んでいく。そういう意味では、ホッパーのおかげで、いい人生が送れたともいえる。

ぼくの友人も「ふりまわされて結果的には楽しかった」と言いたかったのだと思う。そう解釈することにしている。

しかし、そもそもぼく自身は友人を振り回している自覚はなかったわけで、このように親しい人間から受ける評価というのは、意外性があっておもしろい。

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