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3日間のネット遮断を終えた感想

今住んでいる場所のインターネット集合機が故障したので、7月11日(日)から13日(火)の夕方まで3日間弱のあいだ実質ネットにつながることができなかった。

スマートフォンはあるので完全に遮断されたわけではないが、メールチェックがやっとという感じだった。しかしそれがいい経験になったので感想を書いてみたい。

とはいえ、実はこのできごとはそれほど予想外のことではなかった。障害が発生した11日(日)の3日前の8日(木)にはすでに「デジタルデトックス」というnote記事を書き始めていた。デジタル環境への依存度をみなおそうと考えた矢先のできごとだったのだ。

そうでなければこれほど悠長にしていられなかっただろう。仕事にもけっこう差し支えたし・・。というわけでこの記事は、先週木曜日に書いていた記事を「3日間のネット遮断」をへたのちの体験を踏まえて書き改めたものです。

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問題は通貨である。

ぼくは普段、ほとんどの買い物をクレジットカードで済ませる。今でも医師の診療を受けるとき以外、現金はさわらない。パンデミック以降はとくにさわらなくなった。最近はなんたらPAYというのも多いがじつは使ったことがなく、楽天カードでセコセコとポイントをためている。

しかし、これだとなにがあってもデジタルなので根元を絞められてしまったらおしまいである。水、電気、ガスに加えて、通貨のデジタル決済も完全にライフライン化している。これについては8割くらいはながれにのっていくつもりだけど、のこりの2割はべつの場所に軸足に残しておいたほうがいいかなと思っている。

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と木曜日に書いている矢先にネットが遮断されたわけだが、ネット遮断中も仕事を除けば生活は快適だった。

ぼくは音楽が好きだが音楽サブスクリプションに加入していない。もし加入していたらネットがなければ聞きたい曲が効けなくて困っただろう。しかし、ほとんどの楽曲はmicroSDカードに格納してあるのでネットがなくても平気だった。

また、最近は紙の本がいいと思うようになり、キンドルではあまり買っていない。なのでインターネットが遮断されてもいつも通りの音楽を聴きながらいつも通りの本を読み、ネットサーフィンをしない分だけ読書が進んで快適だった。

次に手帳である。最近、このnoteの元ネタも紙の手帳に書くことが増えている。アイデアが出るときというのは一挙に出てくるのでぼくのタイピングスピードでは追い付かない。しかし、紙の手帳なら自分にしか判読できない文字でいくらでも書きなぐることができる。だからnoteのアイデアもネットにかかわりなく快調にまとめることができた。

そういうわけで以上をまとめると、ネット遮断中に仕事以外で困ることはなかった。ただし、仕事についてはすごーく困った(笑)。

さて、上にも書いてあるとおり問題は通貨である。ネット遮断中に通貨で具体的にこまったことがあるわけではないのだが、あの時点で佐藤優氏の『いま生きる「資本論」』という本を読んでいたので通貨についていろいろ考えていた。

彼は1991年のソ連崩壊を現場で経験している。そのときにはルーブルが2500倍のハイパーインフレを起こして使い物にならなくなり、人々はマルボロを通貨の代わりにして買い物をしたそうである。そういう経験があるので、通貨というのは最終的には現物の裏づけが必要なのではないかと佐藤さんは言っている。

しかし、最近流行の経済学では、通貨は共同主観性によって成立していると考えられている。簡単にいうと1万円と呼ばれる紙切れは、たとえ原価が22円でもみんながそれを1万円の価値があるとみとめれば1万円として通用するということになっている。

しかし、ほんとうに切羽詰まったときににんげんはそんなやわな理屈でうごかないのだということをソ連崩壊の現場で目撃したのだそうだ。やはり最後の最後はモノという担保を求める。

これは理屈ではない。なぜ金(きん)が必要かというのは理屈では説明できないが、なんだかんだいって必要になってくるというのがマルクスの考え方だそうである。

さらにこれも佐藤優さんのうけうりなんだけど、思想家の柄谷行人氏は20年ほど前にじっさいに仮想通貨NAMというものの実験をやって失敗していおり、そのときの経験で金(きん)がなければ通貨は最終的には成立しないという考えに傾いているそうである。この考えは今はやりのビットコインとは真逆である。

というわけで、ネット遮断中はこの本をずっと読んでいたので、通貨と資産のありかたについて考え直すいい時間になった。

「デジタルデトックス」というのは、ついネットをやるかやめるかの2択でかんがえてしまいがちだ。しかしそういうゼロイチの発想ではなくてやや依存度を減らすというか、バランスのとり方を考え直すのがイイのではないだろうか。ネットやデジタルは便利なものなのでその恩恵を100%拒絶する必要はないが、放っておけばこのさきどんどん依存度が上がっていきそうだ。ここらでちょっとブレーキをかけたほうがいいなと個人的には思えたのである。そんなわけでいい3日間だった。

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