核兵器はオワコン
核兵器は、もはや時代遅れのさんぶつだ。
イランが開発したり、北がミサイルを飛ばしたりするので、まるで核開発が世界の最前線のできごとのように錯覚してしまう。
でもよく考えてみれば、核兵器の基本技術は75年以上も前に生まれた古いものである。
いま、開発を進めている国はどれも弱小国で、その意図も、外交を有利に進めるためのカードにすぎない。
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現在、核兵器の保有が正式にみとめられている国(米中英仏露)は、すでに50年以上前(1963年)に「核拡散防止条約」を結んでいる。
内容は「できちゃったものは仕方がないので、なんとか減らしていきましょう」というもの。
すでに50年以上前に核は世界のやっかいものであり「後処理」の段階に入っている。
大国が核を使うことはまず考えられないが、コワいのはテロである。
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日本にも核抑止力は存在する。
日本は、ニュークリアレディ国、つまり核準備国だ。
核準備国とは、その気になれば90日以内に核爆弾を製造し、ミサイルに搭載できる技術的能力を持っている国のことである。ドイツもそう。
大前研一氏によると、
ニュークリアレディ国であれば、核兵器を持たなくても「核抑止力」の効果を得られる。特に外国から核で脅かされれば、逆効果になる、ということで抑止力につながる、という発想だ」(日本には“核兵器開発能力”があるのか?)
つまり、「これ以上おどしをかけてきたら、こっちも開発を進めちゃうぞ」というポーズをとることで相手をけん制できるわけで、保有しているのとじつはあまり変わらない。
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生物兵器については、核よりもブレーキをかけるタイミングが早かった。
40年以上前に世界のほとんどの国のあいだで、「生物兵器禁止条約」がむずばれ、今後生物兵器をいっさい作らない、持たない、ということが決まっている。
この場合も、コワいのはテロや弱小国家の暴走だけだ。大国が使うことはまずない。
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いま、最新の兵器というと、ロボット兵器やAI兵器、宇宙兵器などだろう。
宇宙兵器について言えば、これも大国が使用するということはちょっと考えられない。
2019年に、アメリカが宇宙軍を創設したというニュースがあったけど、あれは中国をけん制するためのポーズである。いいかえれば抑止力だ。
「やったらやりかえすぞ」という姿勢を見せているだけで、じっさいに、宇宙兵器どうしの戦いが起こるとは考えられない。
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この先、どれほど高度な兵器がたんじょうしても、誰のトクにもならないということを人類はすでに知っている。
しかし、抑止力としていちおう開発する姿勢はみせておかなければおさまりがつかないというのが各国の態度だ。
ただし、怖いのはテロである。これはオリンピックを控える国としてはまったく他人事ではない。
警戒しすぎということはないと思う。
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