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「縁」は つむぐもの

こんにちは。Chico🌱です。

今日は、1枚のFAXを見て思い出した
あやちゃんのお話。

*

あやちゃんは
いわゆる「転勤族」の子でした。

転勤族とは、両親の仕事の都合で
お引越しをする家族。


ちこ家はマイホームを建て、転勤なし。
ちなみに今もその家に住んでいます。

あやちゃんとちこは対照的だったのです。
だから、あやちゃんが羨ましかった。

当時6歳であやちゃんに出会った時には、
もう既に4回引っ越していました。

ずっと同じ県にいるちこは
「へえ!いいね!
いろんな所に行ってるんだねえ」
と純粋な気持ちを述べました。

*

当時、ちこは
『転校生の初めての自己紹介』
という経験したことのない
シチュエーションに憧れていました。

あの、黒板に名前書いて、
先生が「今日は転校生を紹介しますね」
っていうやつ。
前に立ってみたかったなあ、なんて。

*

あやちゃんは、なぜか
少し寂しそうな顔をしていました。

「でもね、あやね、お友達いないんだ。」

ぽつりと、呟いた。

何を言っているのかがわからなくて、
思わずきょとん。

「え?ちこがお友達だよ?」と。

「…ちこちゃんは
ずっとお友達でいてくれる?」と。

「うん!もちろん!」

…この半年後、彼女は転校しました。

*

先生の提案で、クラス全員で
あやちゃんにお手紙を書きました。

しばらくして、
あやちゃんはクラス全員分に
お手紙を送ってきてくれました。
(今思えばすごいな。あやちゃん。)

クラスの何人かの女の子達は、
それに対して お返事を書いていました。
ちこももちろん、書きました。

途中から
住所が 学校→家になったり、
連絡手段が お手紙→FAXに
変わったりしました。
(え、FAXって死語じゃないよね?(笑))

右半分に文字をびっしり書いて、
左半分に絵を描く。


お互いに送り続けました。

1週間に1回くらいのペースでしたが、
電話の音が鳴る度に
走ってFAXを取りに行っていました。

たまに、旅行のお土産が届いて
びっくりしたことも。

そんな日々が約5年…

*

久しぶりにお手紙が届きました。
その日は小学校の卒業式の日。

「ちこちゃん。小学校 卒業おめでとう。
いつもお手紙をくれてありがとう。

あれから3回転校したよ。

最初はね、みんな
お手紙を送ってくれるんだけど、
次第に減っていくんだ。
そして、みーんな
あやのことを忘れちゃうの。」


「でもね、ちこちゃんだけは
ずっとお手紙を送ってくれた。
だから、すごく嬉しかった。

ありがとう。
お友達になれて本当によかった。」


ああ、そういう事だったんだ、って
この時やっと分かりました。

転勤族って
いろんな場所に転々と引っ越せて
羨ましいと思っていた。

だけど、

全然知らない土地で
誰も知り合いもおらず、
不安でいっぱいのまま転校。

彼女はどちらかと言うと控えめな子。
黒板の前に立って
みんなから注目されるのは苦手だったはず。

それでも毎回、勇気を振り絞って
「あやです、仲良くしてください」って
言っていたんだろうなあ。

最初は戸惑いながらも、
だんだんクラスにも馴染めてきて
少しずつ慣れてきた頃に
また次なる土地へ。

彼女にとって、それが
どれだけストレスだったのだろう。

当時、今みたいに
メールやLINEはなかった。

手紙が切れたら、
それで終わり。


せっかく出会った「縁」も
つむぎ続けなければ
やがて切れてしまう。


そんな彼女にとって、少しでも
ちこが心の支えになれていたんだなあと
じんわり思いました。うれしいな。

*

後日談。

FAXも過去のものとなり、
スマホが普及し始めた。

私達も大人になって、
高校3年生の時。

たまたま見ていたFacebookに
「あや」の文字が。

びっくりして、
すぐに連絡したら
なんと会える距離にいた。

ああ、やっぱり彼女とは
「縁」で結ばれていたんだなあと。


久しぶりに会った彼女は
すごく大人になっていた。

だけど、どこか昔の面影もありつつ。
それがすごく嬉しかった。

もちろん今でもずっと
「大切なお友達」です。

わたしもお友達になれて
本当に良かったよ。

ありがとう、あやちゃん。
また美味しいご飯食べに行こう!

以上、ちこがお送りしました🌱

最後までお読み頂き、
ありがとうございます!

#エッセイ #イラスト #友達 #縁 #引っ越し #転勤族 #ゆるちこあーと

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