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日本人のテレワーク 〜なぜコロナ禍のテレワークは定着しなかったのか(前編)

約一年半前、日本は、いや世界は近年例を見ない災厄に見舞われた。


人々は動きを制限しながらも経済活動を停止させる訳にはいかず、欧米のデジタル関連企業ではテレワークの導入に踏み切った。


その流れで、海外との取引のある企業から徐々に日本でもテレワーク(当時のメイン業務はリモート会議)を導入し始めた。


一部のIT企業や外資系企業ではすでに「オリンピック開催時の人流抑制の一環」として導入されていたテレワークが日本企業全体に普及するのでは…と言うくらいのニュース性、話題性が強烈だった。


その反対に、接客業、運輸業、医療スタッフなどの、人と直接相対でなければ仕事にならない人たちからの怨嗟にも似た諦めの声が出たのも事実だ。


それを無視するかのように政治家や官僚は「テレワーク導入率7割」を懇願していた。


この時点で目標値にムリがあったのだ。


日本で、直接人と接しないでできる仕事が3割しか無いことになる。


ロボットが代わりに働いてくれる時代はもう少し先なのに。


しかし緊急時と言うことも相まって、各企業はどうしたらテレワーク導入可能かを模索しながら、可能な限り導入していった。


…はずだった。


今回導入されたテレワークシステムは欧米のそれで、到底そのままでは日本型の働き方にはマッチしにくいものであった。


テレワークを受け入れる地盤ができていない、もしくはITC未導入、または導入したが定着していない企業が殆どな状態で欧米型のテレワークという上物を乗せてしまった。


ワンルームの基礎工事に4LDKくらいの上物を乗せてしまったイメージだ。


当然バランスが悪く、無駄も多い。


ましてやテレワーク上のコミュニケーションがうまく機能せず、導入がかえって生産性や効率を低下させてしまった。


管理する方もされる方も、意思の疎通が上手く取れなくなり、お互いストレスが溜まって行った。


そして、徐々に緊急事態が解除された途端に、元の環境に戻ってしまった企業が多く、結果としてテレワークは定着しなかった。


しかし、一部の人々にとってはテレワークでの仕事がやり易く、快適だとの声もある。


残念ながら日本の社会では少数意見であるし、何より経営陣や管理職がテレワークを望んでいないのが現実だろう。


…続く

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