プロジェクトマネージャーの苦悩
日本と海外で仕事のやり方に大きな違いを感じるとすれば、チームメンバーの数だと思う。
自分は複数のプロジェクトを兼任するプロジェクトマネージャーでもあるけれど、日本チームはとにかくメンバーが多い。
例えば、ある仕事に対して海外の担当者が1人だとすると、
それに対する日本の担当者が複数人と言うのはよくあって、
チーム表を作ると、海外チーム10人に対して、日本チームが30人程とアンバランスな構成になってしまう。
担当者が増えるほど、誰が責任者か分からなくなるから、
ある書類に責任者の署名が欲しいけど、誰か決まらないなんてことも頻繁ある。
迅速な意思決定が必要な時でも、
× ×さんの許可を取ってください。
〇〇さんの意見を聞いてください。
大事なので、チームで会議を持ちましょう等々…
まあ、決まらない。
先日、プロジェクトメンバーの中でも解決できない問題があったので、
コンサルティングに意見を聞こうと言う話になった。
なんとその資料の作成に1ヵ月半がかかって、提出したのが2日前。
分からないからコンサルティングに聞くのに、「より完璧に!」と資料作成に時間をかけ、結局今まで聞けてないのは少し不思議な気がする。
何なら、「こんなに時間が経っているけれど、今更聞く?」
みたいな雰囲気まである。
なぜこんなことになるんだろうか?
アメリカ人の同僚曰く「何をしたいのかわからない」らしい、
その点には激しく同意、待たせてごめんよ…
これが企業?日本?の文化だと言えばそうかも知れないけど、
その同僚が原因を「組織図」にあると考えていたのは、少し意外で興味深かった。
彼曰く、
「日本の組織図は平べったく」
「海外の組織図は縦に長い」
つまりこんなイメージなのだと↓
日本は責任者(ピンク)が少なく、
1人あたりの責任を取る範囲が大きい上に、上下関係がはっきりしない。
加えて責任があまりない取り巻き(青)がかなりの割合を占める。
取り巻きは決める責任がないから、自分の経験を基に「想定される懸念点」は何でも言う、悪く捉えれば議論はどんどん発散する。
その発散した議論をまとめようにも、責任者は範囲が広すぎて決められない。
結局「みんなで議論しましょう」と決定が先延ばしになる。
んーわからなくもない。
少なくとも権限/責任が明確なのは海外だよね、責任を取って職から外されるとか事実上の解雇みたいなケースは今まで何度も見てきたし。
また、「取り巻き」も含め皆が優秀すぎるのも課題かも?という話にもなった。
平たく言えば皆が責任者レベル/以上の知識/スキルを持った人ばかりで言ってる事がどれも「確からしい」だから決めらない。
これは分かる気がする。
例えば、最近の新入社員は総じてレベルが高い。
TOEIC900点代とか普通になっているし、業務もまじめで人柄もいい、休日もセミナーや資格の勉強もしていて、何というか…弱点がない。
この中から将来責任者を選ぶとして、選ばない理由を探す方が難しい。
全員エース級のチームメンバーが、誰か1人の指示で動くのは難しいのかも知れないなぁ…と妙に納得した。
ひとしきり話した後、思い出したように「なんだかんだで、結局その環境で、できることをやるしかないよね」と言ってもらえて、少し救われた気がした。
うん、それは凄くわかるよ。