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嫉妬してしまう言葉の美

この間見た情熱大陸の感動が忘れられない。
木下龍也さんという歌人の方の特集。

詩や短歌といえば、小学校の国語の最初のページでよく見た、
【分かりそうで理解できないもの】というイメージが
頭の中にずっとこびりついたままだった。

最近はゴールデンタイムのテレビ番組で芸人さん達が
お題をもとに俳句を作る企画がよく放送されているけれど、
発想が頭ひとつふたつ飛び抜けていて、う~んと、
いまいち美しさが感じれなかったり、感動できなかったりしていた。


けれど、木下さんの短歌は違った。
31文字のストーリーがすとんと心に入ってきて、
しっかりと頭の中で情景が浮かびあがってくる。
そして最後の文字まで味わうと、心にじーんとあったかさが広がる。
今までの短歌では感じたことがない感動があった。

木下さんの短歌は俳句のようにかっちりとしたもの
ではなく、しかしポエムのようにふわふわとしていない。
フレームがありながらも、現代を鏡で映したような、あるいは形容しがたい感情を言葉にして短歌に乗せて行く、その絶妙なバランスがたまらない。


31文字へフィルムカメラのように、
情景だけでなく、感情までをも落とし込む。


その繊細な言葉選びと感性に、少し嫉妬してしまいそう。
いい意味で。



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