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約6か月間、Kindle本をICレコーダーで聴きながらウォーキングしたら、10個以上のメリットを発見した。

健康維持と運動不足解消のため、昨年秋からウォーキングを始めました。実は、過去に何度か同じ理由でスポーツジムに通ったり、ジョギングをやったことがありましたが、長く続いたことがありません。

理由は単純でした。面白くないからです。

そんな時、勝間和代さんが、Kindle本を音声化しラジオのように流しっぱなしにして毎日聴いていることを知りました。

これだっ!と思った私は、さっそく実践することにしました。本記事はその実践の記録です。ただし、前置きが長いです(笑)

音声読み上げアプリとの出会い

思い起こせば、20年近く前に私は同じ職場に入社してきた視覚障がい者の方と仲良くなりました。その時、視覚以外の感覚でこの世界を認識し、パソコンや携帯電話が読み上げる音声を頼りにそれらを操作する彼の様子をみて大変驚きました。

また、当時私は「国際ユニヴァーサルデザイン協議会(IAUD)」の立ち上げメンバーにアサインされ、Web企画編集WGの主査として、公式サイトを構築することになりました。そこで、視覚障がい者である彼に協力してもらいながら、IAUD公式サイトの「Webアクセシビリティ」はどうあるべきかを日々検討していました。

詳しく言えば、職場のパソコンにスクリーンリーダーと呼ばれるコンピュータの画面読み上げソフトウェアをインストールし、「Webアクセシビリティ」が高いと言われるサイトにアクセスして研究したり、構築中のIAUD公式サイトがスクリーンリーダーを通してどのように"聴こえるか"を検証したりしていたのです。

これが私と音声読み上げアプリとの出会いです。

音声読み上げアプリの可能性

当時のスクリーンリーダーは、今のテクノロジーに比べると貧弱でしたが、それなりに実用的ではありました。

読み上げスピードの調整はもちろん、声色については男性か女性か選べたような記憶があります。それでも、パソコンに挿したイヤホンから聞こえてくる音声は、棒読み口調でコンピューターがしゃべっている感丸出しでした。

視覚障がい者の彼は、読み上げスピードを「最大」に設定して聴いてたと記憶しています。それは健常者(少なくとも私)には理解が追いつかないスピードでした。パソコンのスクリーンに映し出されたテキストを超スピードで処理する彼がまるで超人のように思えたのです。

それでも彼は読み上げ速度が遅いと言っていたのですから、どちらが障がい者なのか考えてしまいます。彼との出会いによってそんなことを何度か経験し、健常者と障がい者を分ける明確な線はないことを学びました。

私は彼に見習い、Webの記事を音声で聴いたらどんな感じがするのか試したくなり、何度かやってみることにしました。IAUD公式サイトの構築では、基本的にナビゲーション部分の操作性しか確認していなかったからです。

実際にやってみると、これはこれでアリだなと思いました。その体験の先に、Webの記事をまるでラジオを聴くかのようにいつでもどこでも音声で聴ける世界を夢見たものですが、当時の携帯電話で読み上げ機能が搭載されていたのは、「らくらくホン」くらいでした。「らくらくホン」ユーザーである彼をはじめ視覚障がい者の一部の人は、私たちにとっては未来の世界を20年近くも前に当たり前のように経験していたのです。

私は、コンピューターによる棒読み口調や読み間違いに耐えられず、IAUDの仕事から離れると同時にパソコンの画面を音声で聴くことはなくなりました。

テクノロジーの進化によって音声インタフェースが普及

耳で読書ができる「オーディオブック」というものがあることは、15年以上前から知っていました。しかしながら、当時は海外に比べて選択肢(日本語で聴ける本)が少ないことに加え、音声で聴くことの効果やメリットよりも物理的に本を所有することに価値を感じていたためか、積極的に試す気にはなれませんでした。

その後、スマートフォンが登場するなどのテクノロジーの進化によって、音声で文字を入力したり、テキストを音声で読み上げる機能が多くのデバイスに標準搭載されるようになりました。

これはもう本当に画期的で、音声による文字入力は、ほぼ完ぺきに近いレベルに到達しています。周りに人がいなければ、ショートメッセージレベルのやりとりであれば、Apple Watchに話しかけるだけでほぼできちゃいます。昔観たSF映画の1シーンが現実となっているのです。

余談ですが、新型コロナの危機によって、在宅ワークが日常になり、同僚の存在を気にせず、音声入力ができる環境が当たり前になったことは注目に値する変化ではないでしょうか。

テクノロジーを使い倒して生産性を究極まで高めようとする一部の人たちは、キーボードから音声での入力に移行し始めており、音声操作を前提とした新しいOSやデバイスの登場が期待されます。

Google Glassのようなキーボードやディスプレイを持たないメガネ型デバイスが有力候補の1つです。メガネ型デバイスはもしかすると、外出先にて単体で使うよりも、在宅ワークのような宅内環境で他のデバイスと組み合わせて使うのが主流になるのかもしれません。

iPhoneを使って本を聴く方法

前置きが長くなりましたが、過去を振り返ってみると私が本を音声で聴くようになったのは、偶然ではなくむしろかなり前から運命づけられていたのかもしれません。

このやり方を何人かに話してみても、「へぇーすごいね」で終わるだけで、誰も実践する人がいないのはそのためですね(笑)

私はまず手持ちの機材を使って、本を音声で聴くことにトライすることにしました。これは、スマホ(とイヤホン)さえあればできます

私はiPhoneユーザーなので、iPhoneの標準機能を使ってウォーキング中にKindle本を聴くことから始めました。

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画面に表示された内容をiPhoneで読み上げるには、「設定」→「アクセシビリティ」→「読み上げコンテンツ」の設定を表示させて「画面の読み上げ」設定をONにするだけです。

読み上げさせたいコンテンツを画面に表示し、「画面上部から下に2本指でスワイプ」すると、「読み上げボタン」が表示されるとともに、読み上げが開始されます

Kindle本を読み上げる場合は、本の最初のページを表示させた状態で、画面上部から下に2本指でスワイプすればOKです。簡単ですよね。iPhoneのディスプレイをオフ(スリープモード)にしても影響ありません

私はウォーキングしながら、iPhoneの読み上げ機能を使ってしばらく無料で読めるKindle本(Amazon Prime会員向けのPrime Reading)を聴いていましたが、当時は以下の点が満足いきませんでした。

・読み上げスピードが「1/2倍速」「1倍速」「2倍速」しか選べない(と思っていましたが、4倍速まで選べます)
・画像があるページで読み上げが止まってしまう(今は改善されています)

勝間和代さんのブログによれば、Android OSであれば、画像のあるページでも読み上げが止まらず、iPhoneよりも人間に近い滑らかな声で読み上げてくれる(Android OSの最新バージョン)というので、Android端末を入手することにしました。

Androidを使って本を聴く方法

格安のAndroid端末(以下)を入手した私は、さっそくKindleアプリを入れて、ウォーキング中に聴いてみました。確かにiPhoneに比べてとても聞きやすいと思いました。所々抑揚のおかしいところもありますが、とても人間らしいのです。また、画像のあるページでも音声が止まりません。

それでも、Android端末を持ち歩いてウォーキングを続ける気にはなれませんでした。なぜなら、スリープモードになると読み上げが止まってしまうからです。スリープモードをオフにしたとしても、その状態で、画面を触ったり、ボリュームボタンを誤って押してしまうと、読み上げがストップ(正確には操作したことを読み上げて)してしまう問題もありました。これではiPhoneよりも使い勝手が劣ります。

そこで導入したのが、Bluetooth対応のICレコーダーです。勝間和代さんもICレコーダーに録音しています。

ICレコーダーの活用によって、Kindle本の読書体験は劇的に向上しました。

その方法については以下のブログで説明していますので、やってみようと思った方は参考になさってください。

スライド2

ちなみに、Androidの読み上げは、「音声の速度」と「音の高さ」が細かく調整できるので、男性風でも女性風でも自分好みの声が選べます。私が直感で選んだ設定は上図のとおりです。「女性風の早口モード」ですが、特に不満も感じていないので、最初からずっとこの設定を使っています。

ウォーキングしながら本を聴くメリット

約6か月間実践してみて分かった、ウォーキング中に本を聴くメリットは以下の通りです(私の場合、間接効果も含む)。

・ウォーキングに行くことが楽しみに変わった
・ウォーキングする距離が伸びた
・ウォーキングを習慣化できた
・ウォーキングしながらインプットできる
(1~2回のウォーキングで普通のビジネス本を1冊消化できる)
本を読む量が増えた
健康になったと思う(基礎代謝が上がっているかも)
・健康的な生活によってQOL(Quality of Life)が向上
・自然と触れ合う時間が増えてQOL(Quality of Life)が向上
人の少ない山側に行くと、田舎に行った気分を味わえる
・気分がリフレッシュされる
(普段いかない場所に行くため)道に詳しくなった
・日焼けした(メリットじゃないかも)

一番大きな効果は、もちろん一番上の「ウォーキングに行くことが楽しみに変わった」です。

さらに最近では以下の効果があるのではないかと感じています。

仕事の課題に関する本を聴きながらウォーキングすると、
脳が刺激されてアイデアが出やすくなる

本を聴いている最中に仕事のことを考えてしまうので、そのモードになると本の内容は全然頭に入ってこないのですが、例えていうなら、まるで誰かとブレストしながら散歩している感じ。

つまり、インプットするための読書に加えて、アウトプットするための読書もウォーキング中にできるということです(良いアイデアが出たら、スマホにメモすることを忘れずに)。

しかも、書籍『脳を鍛えるには運動しかない!最新科学でわかった脳細胞の増やし方』によれば、

・運動すると35%も脳の神経成長因子が増える
・運動することでストレスやうつを抑えられる

ということですから、脳にとってもいいこと尽くめ。

こんな本もあります。太陽光とリズム運動がセロトニン神経を活性化するそうです。

320ページの本を約15km歩いて読む

1冊の本を読むのにどれくらいの時間がかかるか具体的に説明したいと思います。

取り上げたのはちょっと厚めのビジネス書で、ハードカバーだと320ページもあります。

まず上述した設定(読み上げ時の音声の速度とKindleの設定)で、Kindle本をICレコーダーに録音します。その結果、約4時間の音声ファイルになりました。

実際にウォーキングしながら聴いてみたところ、約4時間、20,000歩で最後まで聴くことができました(計30分程度の休憩含む)。距離にして約15kmです。

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ウォーキンググッズ(+ティッシュとマスク)

いつも使っているBluetoothのワイヤレスイヤホンは片方だけバッテリーが最後までもちませんでした。仕様では約6-7時間は持つはずですが、価格相応でしょうか。

イメージつきましたでしょうか?

読み上げスピードはICレコーダーでも調整できる(1/4倍速から3倍速)ので、慣れてきたら視覚障がい者の彼のようにもっと早く聴けるようになるでしょう(たぶん)。

Kindle Unlimitedがお得

無料で読める「Prime Reading」で読みたい本が少なくなった私は、この4月に以前から気になっていた「Kindle Unlimited」のキャンペーンに申し込みました。確か2カ月で199円(税込み)だったと思います。

1冊読めば元が取れますから、最新の本が選べないという欠点はないに等しいですよね。

聴く読書によって読書量が増えたため、キャンペーン期間中は普段読まない本にもトライして知識の幅を広げたいと考えています。

最後に

すでに数十冊の本をウォーキングで聴いていますが、並行して読んでいる紙の本に比べると早く読めるしとても楽ちんです。しかも、おまけに健康な体までついてきます。

もはや、ウォーキング中に本を聴いているという感覚ではなく、読書中にウォーキングしている感じ。この微妙な差分かります?(笑)

Kindle本を音声で聴くことのメリットばかり書いてきましたが、欠点もあります。それは、気になった個所にマーキングできないということです。後で読み返したい場合にはちょっと不便を感じています。

本記事を読んで実践してみた方がいたら、ぜひ感想を聞かせてください。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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