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4人で約5時間かかる「1年の振り返り」をオンラインで開催するためのガイドとヒント。

毎年、年末になるとfacebookのタイムラインで参加者を募集し、以下のサイトで紹介されている、4人で約5時間もかかる「1年の振り返り」を開催しています。

今年は新型コロナの影響で対面での開催が難しいと判断し、オンラインでやってみることにしました。

本記事では、上記の「1年の振り返り」完全マニュアルには書かれていないノウハウや、オンライン開催のヒントをお伝えできればと思います。

1. 開催の準備1(参加者募集~人選)

まず参加者の募集については、「1年の振り返り」完全マニュアルを参考にfacebookを使って行います。

その中で特に重要なのは参加条件です。お互いに安心して話せる環境づくりと、多様な視点が得られるようにするために必ず記載しましょう。

ちなみに、私は以下のように書いて毎年募集しています。ありがたいことに今年で6年連続開催となりました。

・IT系、同じ企業グループ以外で働いている方
・仕事上の接点も利害関係もない方
・共通の友人が極端に多くない方

今年はステイホームする方が多いためか、特別な一年だったせいか分かりませんが、例年よりも希望者がやや多めでした。

私を除く定員3名の内訳は、男性1名、女性2名とするようにしています。それは女性の立場ならではの意見や価値観コメントに学ぶところが多いと実感しているからです。そして可能な範囲で、なるべく年齢層や業界・職種もバラバラになるように人選しましょう。

私の場合、ご連絡いただく方の半分くらいは一度しかお会いしたことのない方なので、所属業界や職種がハッキリしない場合はメッセンジャーで以下のように確認しています。

〇〇さん、ご連絡ありがとうございます!
「振り返り」の質を高めるため、私を含めた参加者全体のバランスも考えてお願いする方を決めたいと思っています。
〇〇さんの所属する業界は主にどちらになりますか?

facebookのプロフィールや頂いた名刺に記載されている情報から勝手に判断したら違っていたというケースもたまにあるので注意しましょう。

2. 開催の準備2(メッセンジャーグループの作成)

参加者が決まったら、facebookのメッセンジャーグループをつくって招待します。以下のようにグループ名を統一しておくと継続した際に何かと便利です。

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参加者を招待したら、以下のようなメッセージを送信しておきましょう。

「1年の振り返り」参加メンバーのみなさんへ。あらためてよろしくお願いします!
こちらのマニュアルをご確認の上、当日までに「振り返り」シートの準備をお願いします。
https://ix-careercompass.jp/article/240/
当日は、13時過ぎ頃〜(約4時間+休憩1時間)、夕方から懇親会を予定しております。

対面で開催していた時は、いつも同じファミレスで実施(2年目以降)し、終了後の懇親会が楽しみでした(今年はオンラインなので、懇親会のくだりはありません)。

さらに続けて、以下の注意点についても送るようにしています。

4人でやることに意味のある会となります。緊急の場合を除いて、できる限りキャンセルのないよう、ご協力よろしくお願いします。
各自、簡単に挨拶をお願いします。万が一、友人や利害関係者が参加メンバーの中にいてまずい場合がありましたら個別にご連絡ください。よろしくお願いします。

年末にわざわざ5時間もかけて初対面の人と振り返りをしたいと考える意識の高い方たちなので、ここまで準備すればあとは当日を迎えるだけです。

対面で開催する場合は、開催場所選びも重要です。完全マニュアルにも書かれていますが、会議室以外がよいでしょう。

3. オンラインツールの選定

オンライン開催となれば、以下の2つのツール選定も必要な作業となります。

・オンライン会議サービス
・オンラインホワイトボードツール

オンライン会議サービスについては、今や多くの人が一度は体験したことのあるZoomがやはりお勧めです。私は有料プランに入っているので時間制限もありません。

有料アカウントを持っていない場合は、他のオンライン会議サービスの利用を検討するか、Zoomが発表している「時間制限が無い会議の日」を使ってもよいでしょう。

問題はオンラインホワイトボードツールです。対面でやっていた頃は、模造紙とサインペンを会場に持参していました。

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当初はオンラインホワイトボードツールの「miro」にしようかと考えていました。しかし、あらためて「振り返り」完全マニュアルを読み直し、昨年の振り返りの様子を思い出した結果、採用を見送りました。主な理由は以下の通りです。

1)参加者のITリテラシーにバラツキがあると、操作説明等に時間がかかる
2)参加者のPC環境によっては使えない or 使いづらい場合がある
3)(模造紙+ペンに比べて)アウトプットのスピードが落ちる

そもそもノートPC1台のみ(13インチクラス、外付けディスプレイ無し)で参加する方がいる可能性は否定できないので、「振り返り」シートの共有画面を見ながらのアウトプット作業は厳しいのではないかと思っています。

そこで、5月にnoteで公開した「zoom+Googleスプレッドシートを使ったオンラインワークショップ」の手法を使うことにしました。

今年は本手法を活用したワークショップを社内外で多数実践させていただく機会に恵まれ、1,000名以上の方にご体験いただきました。詳しくは以下をご覧ください。

4. Googleスプレッドシートの事前準備

今回事前に準備したGoogleスプレッドシートは以下の3種類です。場面に応じてタブを切り替えて使いました。

1)オンライン版「1年の振り返り」ガイド
 過去5年の実践経験を活かして、進行管理を円滑に行うために作成
2)自己紹介シート
 最初に行う自己紹介タイムを効果的に行うために作成
3)「振り返り」ワークシート
 模造紙に相当するものとして作成

以下、それぞれについて使ってみた様子や感想などをご紹介します。

5. オンライン版「1年の振り返り」ガイド

最初はオンライン版「1年の振り返り」ガイドです。進行上必要な情報を分かりやすく1シートにまとめました。当日も「振り返り」開始前にこのページをみながら一通り説明をしています。

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上半分は「振り返り」完全マニュアルをベースに進め方をまとめています。「各ワークの時間」「スタート時間」「休憩時間」をあらかじめセットすることでタイムスケジュールが自動的に計算される仕組みになっています。

今年の振り返りは13時に集合し、軽く自己紹介を行ってから始めました。したがってスタート時間は13:25となっています。各ステップにかかった時間は多少伸びたり縮んだりしましたが、ほぼスケジュール通り進行することができました。

オンライワークショップで悩ましいのは各ツールウィンドウのレイアウトです。今回は一人目の振り返りタイム中にいろいろ試した結果、以下の配置に落ち着きました。ちなみに、27インチディスプレイを3台使っています。

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このレイアウトでは、アナログ時計と全体のタイムスケジュールが同時に確認できるので、対面でやっていた時よりもタイムマネジメントが楽でした

「1年の振り返り」ガイドの下半分は、効果的な質問例です(完全マニュアルの引用)。いかにパワフルな問いを投げかけることができるかが、「振り返り」の質を高めることになるため、タブを切り替えるだけで、質問例を簡単にチェックできたのが効果的でした

6. 自己紹介シート

以下のようなシートを作成し、イベント当日の朝、メッセンジャーグループに投稿して開始前までに記入をお願いしました。

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お互いの気持ちや感情を共有することで、心理的な距離を縮めることができます。あまり深く考えずに回答でき、アイスブレイク的に笑いや共感が生まれる問いを入れておくとよいでしょう。

自己紹介シートを共有しながら一人ずつ自己紹介してもらったところ、あっという間に打ち解けた雰囲気となり気持ちよくスタートできたと思います。

今回はメッセンジャーグループの方で、仕事や趣味、家族構成などのいわゆる自己紹介が済んでいたので、上記のような内容にしました。

Googleスプレッドシートの方でそのような自己紹介をしてもらうやり方も考えられますが、個人的には、スプレッドシートに詳細な個人情報を書いてもらうのは避けた方がよいかなと思います。スプレッドシートはあくまでもイベントの最中に考えたことをアウトプットするためのワークシートという考えです。

7. 「振り返り」ワークシート

最後は、「振り返り」の最中に使用する模造紙代わりのワークシートです。ひとり1シート準備しました。

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色がついているセルが、発表者の話を聞きながら他の3人が同時に書き込むメモエリアです。下の白いセルの3行は、発表者の方が3人からもらったアドバイスなどをメモするエリアになっています(こちらは当日追加しました)。

今回のイベントに限らず、オンラインワークショップにおける一般的なメリット(アウトプット観点)として以下の点が挙げられます。
1)テキストなので手書き文字に比べて字が読みやすい
2)入力された情報を即座に確認・共有できる
3)キーボード入力の方が(修正も容易なので)たくさんアウトプットできる

一方で、模造紙と比較した場合の本手法の欠点は以下の通りです。
1)矢印や図解のような表現ができない(ちょっとした絵も描けない)
2)誰がどの書き込みをしたのかが分かりくい

これらは実際にやってみると大きな問題ではありませんでした。総合的に判断すれば「1年の振り返り」についてはオンライン開催の方が向いているのかもしれません。

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オンライン開催には他に以下のようなメリットもあります。

・時間的/地理的な制約を気にせず参加者を集められる
・「振り返り」シートが見やすい/発表しやすい(画面共有)
・全員の顔と表情が見えるのでカメラの性能やディスプレイサイズ等の環境によっては対面以上に一体感を感じやすい(上の写真)

対面のよさが失われるという問題も当然ありますが、本記事では割愛します。

8. まとめ

本記事でご紹介した通り、「Zoom+Googleスプレッドシート」の活用で、時間を延長することなく対面とほぼ同じやり方で「1年の振り返り」を実施することができました。

ちなみに、最初の自己紹介タイムと終了後の懇親タイムを合わせて合計6時間かかりました(対面でもほぼ同じです)。

本記事が、「1年の振り返り」をオンライン開催する方々のヒントになれば幸いです。

9. おまけ

「振り返り」シートは毎年、「1年の振り返り」完全マニュアルのサイトからダウンロードできるものを使っていましたが、今年は画面サイズを16:9に変更した新デザインのテンプレートを用意しました。

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しかしながら、書き込みエリアが増えたため、情報を詰め込み過ぎたのが反省ポイントです(半分くらいしか語ることができませんでした)。

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