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6つのアート作品を通じて「自分なりの答え」をつくる作法が学べる書籍「13歳からのアート思考」を11枚のスライドにまとめてみた。

「美術」はいま「大人が最優先で学び直す科目」である、と主張するのはAmazonでも評価の高い書籍『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』です。

本書を読むと「美術」に対するイメージが間違いなく180度変わります。本記事ではそのエッセンスを11枚のスライドを使ってお伝えします。

アート思考が求められる理由

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新型コロナの危機によって、私たちはまたしても未来は過去の延長線上にないということを見せつけられました。

思い起こせば、昨年10月12日、台風19号によって私が勤めている会社のオフィスは浸水し、ビルごと使えなくなりました。自宅の心配をしている間に、オフィスがやられるという、全く想定外のことが起こったのです。

そんな激動する複雑な世界において「正解」というものは存在しません。したがって「自分なりの答え」をつくれる(アーティストのように考える)人がいま求められています。これまでビジネスの対極にあった「アート」が、ビジネスの世界でも注目されるという流れが今まさに起きているのです。

アートの本質とは?

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「アート」を植物に例えると上の図のようになります。「アート」といえば、どうしても「アート作品」に目が行きがちですよね。

つまり、「美術」の授業で行われている「絵を描く」「ものをつくる」「作品の知識を得る」という教育は、アートという植物のごく一部である「花」にしか焦点を当てていないことと同じことなのです。

図の中にある「興味のタネ」とそこから伸びる無数の「探求の根」こそが、アートの本質であり、本書では「アート思考」と呼んでいます。

アート思考を突き動かすもの

「アートという植物」をよくみると、アートという植物が養分にするのは自分自身の内部に眠る興味や個人的な好奇心、疑問です。つまり、アートという植物はこの「興味のタネ」からすべてがはじまります。

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言い換えるとそれは「自分自身」であり、他人が定めたゴールに向かって進むこととは決定的に違います。

「アートという植物」を見て分かるように、地上の流行、批評、環境変化などをまったく気にかけないのです。それらとは無関係に「地下世界の冒険」に夢中になっています。子どものころは、きっと誰もがそうでしたよね。

ここで以下の質問に答えてみましょう。

・誰かに頼まれた「花」ばかりをつくってはいないか?
・「探求の根」を伸ばすことを途中で諦めていないか?
・自分の内側にあったはずの「興味のタネ」を放置していないか?

これらは、日々の仕事や学び、生き方全般に当てはまる問いです。

新型コロナの危機によって、世界の見通しがこれまで以上にきかなくなった今もなお、内なる声に耳を傾けずに「新たな正解」探しをやっていないでしょうか?

スライド5

昨年公開されたディズニー系アニメ2作品(上図)にも似たような共通のメッセージが込められているように思います。もしかすると、これは映画館で子どもたちと一緒に鑑賞している大人向けのメッセージなのかもしれません。

20世紀に入って揺らぐアートの存在意義

世界最初の写真は1826年に撮影されたそうです。20世紀初頭には大衆にも広がっていきました。

カメラの登場によって、「目に映るとおりに世界を描く」というそれまでアートの世界にあった明確な正解がその意味を失ったのです。

これはまさに、今日でいう破壊的イノベーションだったと言えるでしょう。

ゴールを失ったアーティストたちは、各々の「探求の根」を伸ばすことになります。そういう意味で、20世紀に生まれたアート作品には、「アート思考」の色がクッキリと表れているのです

著者が本書で伝えたいことは、1つのアート作品をきっかけとして、自分自身の「探求の根」を伸ばし、「自分なりの答え」をつくるための作法です。つまり、たくさんの作品に触れたり、知識を得るなど「教養」を身につけることではありません。

スライド6

本書には「20世紀に生まれた6つのアート作品」が、まるで美術の授業を受けているかのように紹介されています。アートに対して苦手意識のある方でも大丈夫。13歳に戻ったつもりでアート思考を深める過程を楽しむことができるでしょう。

6人のアーティストが探求したこと

本書に登場する6つの作品について、それぞれのアーティストがどんな答えにたどり着いたのかを簡単に解説したいと思います。

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アンリ・マティスは、20世紀のアートを切り開いたアーティストと称されており、この「緑のすじのあるマティス夫人の肖像」はその代表作です。

カメラの登場によって失われた、アートの存在意義に新しい答えを示しました。

それは、「目に映るとおりに描く」のではなく、「色」を純粋に「色」として自由に使うことでした。

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誰もが知っているパブロ・ピカソの作品です。彼はこの「アビニヨンの娘たち」によって、これまでとは違う「リアル」を探求しました。

1つの視点から人間の視覚だけを使って見た世界(遠近法)から、様々な視点から認識したものを1つの画面に再構成するという答えを編み出したのです。

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ワシリー・カンディンスキーは、ある作品に刺激を受け、人の心に直接響き、見る人を惹きつけるような具象物のないを追求することになります。

この「コンポジションVII」という作品は、作品名もさることながら、「何」が描かれているのかさっぱり分かりません。にもかかわらず、どこか惹かれるものがありませんか?

彼は具象物のない絵を探求するとき、「音楽」がもつ音やリズムを「絵」で表現することで、「具象物」を消すことに成功したそうです。

「(現代)アート」といわれて、多くの人がイメージするのはこのような抽象画なのではないでしょうか?

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マルセル・デュシャンは、ただのありふれた便器を選び、逆さにして置き、端っこにサインをし、「」というタイトルの作品を発表しました。

当時は問題作品扱いされ、展覧会にも展示されなかった作品ですが、2004年、アート界に最も影響を与えた20世紀アート作品の第1位に選ばれています。

彼はこの作品を通じて、誰も疑うことのなかった根本的な常識、「アートは視覚で愛でることができる表現に落とし込まれるべき」を打ち破ったのです。そして、アートを「思考」の領域に移しました。

もうここまでくると、何でもアートですよね。

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ジャクソン・ポロックは、この「ナンバー17A」を通じて、私たちの目を「物質としての絵そのもの」に向けさせようとしました。

つまり、アートを「なんらかのイメージを映し出すもの」という役割から解放し、絵画は「ただの物質」でいることを許されたのです。

まさかそう来たか!という驚きしかありません。

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最後の作品は、アンディー・ウォーホルの「ブリロ・ボックス」とう作品です。

これは「ブリロ」という食器用洗剤の商品ロゴやパッケージデザインを、そっくりそのまま木箱に写し取ったものとなっています。ここに、彼のオリジナリティー(独自性)はまったくありません。

彼は、この作品を通じて「アート」そのものがもっていた見えない枠組み自体に目を付け、「アート」と「アートでないもの」の間にある秩序さえ取り払いました。

これがアートだというようなものは、ほんとうは存在しないという訳です

あなたもアーティストになれる

もう一度「アートという植物」の図を見てみましょう。

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興味のタネ」は、自分のなかに眠る興味・好奇心・疑問
探求の根」は、自分の興味に従った探求の過程
表現の花」は、そこから生まれた自分なりの答え

他人から頼まれた「花」を夢中になって作っている人、言い換えると、他人から与えられたゴールに向かって課題解決をしている人のことを「花職人」と呼びます。

一方、「アーティスト」とは、「自分の好奇心」や「内発的な関心」からスタートして価値創出をしている人です。アーティストには明確なゴールはありません。

どちらを選ぶかは、「才能」でも「仕事」でも「環境」でもなく、あなた自身なのです。

もしかしてアーティスト?

自分のことをアーティストだなんて今まで一度も思ったことはありませんでしたが、本書を読んで、アート思考な活動をやっていることを思いだしました。

人と異なることに喜びを感じたり、誰もやったことのないことにワクワクする自分はやっぱりアーティストなのでしょうか。。。

最後に

以前、人生のターニングポイントについて18名にインタビューした時、ある方に教えてもらった一言を思いだしました。

心が動くものに出会うと、頭の中で勝手に言葉が生み出される

「勝手に」というところがポイントだと思います。人から与えられた課題でも何でもないにも関わらず、頭がどんどん動き出す感覚。

これは「自分なりの答え」に近づくためのコンパスだと思います。もしこのようなことがあったら、直感を信じて何か行動してみるとよいでしょう。

ただしその前提として、「心が動くものに出会う」機会を意識的につくることが大切だと思います。そのためには身体的にも精神的にも余裕がないとダメですね。

話は変わって、2014年に、芸術資源開発機構(ARDA)が主催する「対話型鑑賞ファシリテーター講座」を受講していたことを思い出しました。受講のきっかけや理由は、直感や探求心のようなものです。

当時は「アート思考」といった言葉は今よりもメジャーではありませんでした。講座を受講してみて、アートを鑑賞する際に求められる力はビジネスパーソンにも必要なスキルではないか、と思うようになりました。これも探求の末にみつけた「自分なりの答え」だったと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

あなたの人生を豊かにするヒントやきっかけになったら嬉しいです。

参考書籍

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