雨降って地固まる

無期限の自宅学習になったことで、肩の荷が降りた。最初に怒られれば、後は静かに家から出ないで最低限教科書写しをすれば良いものだから、あっという間に自由時間を獲得できた。最高!こんな時間!!、と本来なら反省文をひたすら書くべきなのだろうけれど、空いた時間には窓を開けて、家の敷地内にある柿の木を見たり、景色を見ながら、感情の整理として日記を書いた。

毎朝、仕事前に呆れた顔をしながら母が学校へノートを届けていたのだが、生活指導の先生がたったの3日目で訪問すると言う。経過観察か、勉強してるのか本当にと怒られるのか、と思っていたのだが、

「君の文章には、生命力を感じる。どんなことを考えていたらこんな文章を書けるのか」

答えるに答えられない、何せ、暇な時間を勉強してるよ、反省しているよ、と思わせたかっただけで書き出したのだから。1週間もしないうちに謹慎が解けてしまい、校長室へ呼ばれた。

「君は将来何になりたいのか」

「普通に卒業することしか考えていません」

「君の文章には感銘を受けた。文才があるよ。本来ならもっと長く停学処分扱いをしたかったのだが、君に謹慎処分をこれ以上長引かせてはいけない、と思えて今日は呼んだんだ」

何を言って良いものか、自分の意図とは違うことばかりを褒められるので、反省して更生するんだと言う態度だけ示した。

母が車内の中で、高校受験に合格し入学説明会の時に見せた、誇らしげな顔をしていた。

「停学食らって、褒められるなんてあなたくらいでしょうね」

そうだね、何言われるのかと思ったら、褒められるなんて思ってもみなかったよね、と笑い、母の安堵感を垣間見れたことで、停学処分になっとことにも緊張がとけた。


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