本当のことしか残らない

2年生の生活指導の阿部先生に呼ばれた。

「どういうことか説明を君の口から聞きたいと思ってね」

一連の流れを説明すると、阿部先生は溜息を漏らした。そうか、そういう考えだったのか、僕が聞いていた内容は少し違っていて、いや、僕の解釈が間違っていただけのことなのかもしれないのだけど。去年君がクラス代表の文集に選ばれただろ?その時僕は国語教師として、君の去年の副担任の串崎先生と話をしていたんだよ。だからこの話を聞いた時なんか不自然だと思っていてさ。やはりきちんと話をしてみないと、片方からだけ聞いても物事の本質は見えないものだね。

起承転結に話をしたわけでもない。むしろ聞かれたことに答えただけだった。だけど、ある程度、「私」という個性は、知っていてくれた先生だったからか、話は淡々と終わった。

「じゃあ、そのボイコットは、誰が始めたのか知っている?」

知りません。私と先生のやりとりを見て起こったことだから、私のせいでもあるかもしれないけれど、それぞれが自分の意思で動いたことだと思います。

そういうと、なら、それを知らない、というあなたの責任にしかならないのだよ、良いのかな?

尋問誘導だった。主犯格をなんとか更生させなくてはならない、生活指導の役目だったのだろう。

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