学級崩壊

高校1年生で携帯電話を持つのが普通の世代、学校へは持ってきてはいけないもののはずだが、多感な時期にそんなことを守る人などおらず、授業中に至るところからニワトリの鳴き声が突然聞こえたり、あえて着信音が鳴らしたりして先生を煽るようなクラスになっていた。

進学校で準トップクラスとまで言われたクラスが、学級崩壊クラスと呼ばれるなんて誰が想像しただろう。クラスの半数が停学処分を受けていた。その中でも女子は私くらいのものだったけれど....

高校2年生になると、文系4クラスと理系6クラスに分かれ、文系を選んだ。1年生でも同じクラスだった石田真理子の登校拒否が再発し、理由という理由を述べられはしないけれど、文通をしていた私は彼女が登校したくてもできない苦しみを抱えていることを理解していたし、そのことを誰かに話したりもしなかった。

「石田は、登校拒否を続けている。精神的に弱いのだろう」

ブチっと何かが切れた。

「先生、それ言わなくて良くないですか?」

「みんなに知る権利がある」

「個人的なことをみんなに知らせる必要はないと思いますけど」

「お前は調子乗ってんじゃないの?」

「はあ?」

苛立つ私の机を、押しながら、自分の立場をも押し付けてくる。堪忍袋の緒が切れて、重ねてあった教科書5冊ほどを思いっきり振り払った。

「なんか文句あんの?」

胸ぐらを掴まれたので、殴れば?と言って挑発したが、

「先生、教育委員会に暴力振るったって抗議しますよ」

四元久美が間髪入れずに止めた。ホームルームが終わって、ドアを思い切り蹴って友人宅へ頭を冷やしに向かうと、頼んでもいないのにどうしても進学に響くことはできないというクラスの4人以外はボイコットを始めたという。おまけに著名まで集め出しているというメールが入った。

味方して欲しくて取った行動ではないし、誰にもそういうふうにしろ、とは言っていない。翌日、朝から主犯格扱いで職員室へ呼ばれた。

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