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授業のちょっとしたコツ2 教材研究でも授業中でもターゲットを絞ろう

ターゲットを絞るとは

毎日一生懸命授業の準備をして、いろんな参考書とかも読んで、良さそうなものを一生懸命取り入れてる後輩の先生が、自信がないんです、と相談しに来てくれた。じゃあ、一度授業を見せてね、と空いている時間を利用してその教室へおじゃました。
その先生は若くエネルギッシュで子どもたちにも好かれている。なるほど授業も工夫が凝らされていた。
が、気になったことがあった。

その先生は、みんなに授業をしていた。

みんなに授業をするのが当たり前、だと思うかもしれない。いや、担任とは40人ぐらいの子どもたちを受け持つわけで、授業は当然全員に向けて一斉にするものだ。
しかし、40人近く子どもがいれば、そりゃあいろんな子どもがいる。元気な子、おとなしい子、男の子、女の子、そして、理解の早い子、理解するのに時間がかかる子……。担任していると、みんなに授業をし、みんなに理解してほしい。あたりまえだ。
その先生も同じ。いや、熱心なだけに人一倍そうだった。

授業というものは、生き物なのだ。同じ授業を同じ学年でやっても、目の前の子どもによって反応や理解が全然違う。だから、同じ授業は二度とできない。
そして、その内容によっても違う。
今日学習するところは簡単。今日はちょっと難しい。今日はかなり難しい。日によって違うものだ。

一斉に授業はするが一斉に理解はできない

だから、ターゲットを絞ろうと話した。
仮にAさんBさんCさんがいたとする。Aさんは理解が早い。Cさんは理解に時間がかかる。Bさんはその間ぐらい。
今日の授業はAさんにはすぐにわかるだろうな、Cさんはちょっと時間がかかるだろうな。
今日は難しいなあ……Aさんはわかるだろうけど、Bさんはどうかな、Cさんは時間がかなりかかるだろうな。
教材研究の段階で、だいたいそういう目星をつけておく。そうしてから授業に臨む。
授業中は全員に気を配りながらも、ターゲット3人に重点を置く。比較的簡単なところの授業で、Aさんを見たらやはり余裕だった。そういう場合はAさんやAさんと同じぐらい理解の早い子らはほっとけば良い。BさんやCさんに向けた授業をそこから展開するのだ。
では、ちょっと難易度が高い授業ではどうするのか。
Aさんも苦戦気味。ということはBさんはしんどい。Cさんはもうついていけてない。うん。それで当たり前。みんな一斉にわかるわけがないのだから。
まず、Aさんに向けてサクサク授業をしよう。Aさんなら全部説明すれば理解できる。まず、Aさんに理解してもらう。そこで大事なのは、BさんCさんたちのために立ち止まってはいけないということだ。とりあえずAさんに理解させよう。そうすると時間が意外に余る。Aさんが理解したということは、同じぐらい理解が早いDさんやEさんらもわかっているはず……。だから、次はBさんのために時間を使おう。もう一度丁寧に説明し直してBさんに理解してもらおう。Bさんが理解できたことを確認できたらBさんと同じぐらいのFさんたちもできてるはず。
そして、最後にCさんたちのために個別の時間をつくろう。もし、あなたのクラスにT2の先生がいたり支援員やボランティアが入っていてくれたら、打ち合わせの中で今日の授業の重点児童を伝えておけば、さらに時間効率はアップできる。

立ち止まらない勇気を持とう

よくありがちなのは、全員に理解させようとしすぎて授業中何度も立ち止まってしまうこと。同じ説明を繰り返してしまったり、もう一度最初から説明してしまったり……。これでは、時間は絶対に足りない。
全員に理解してもらうのが授業だが、全員が同時に理解する必要はない。その授業が終わったときに全員が理解してれば良いのだから。

早く理解してしまった子には、別のプリントをさせたり国語の教科書や借りてある本を読ませておく。教室の中は発達障害を抱える児童もおり、そういう児童に配慮するため静かにさせておきたいので、友だちに教えにいかせるなどのようなことはさせない。早く終わった子だけずるいなんてならないように宿題もさせない。家庭学習はあくまでも家庭で行う。
別のプリントを用意する時間がなければ、バーチャル旅行記やコマーシャル作文など、常備しておくプリントでも良い。ここら辺の気遣いができると、どの子も教師を信頼してくれるようになる。

ああ、あと、もちろん、できればターゲットは毎日変えた方が良い。子どもに『えこひいき』なんて言われないように(笑)。

教師は子どもの反応を見ながら、子どもたちと一緒に授業をつくる。教材研究の時には、ターゲットの顔を思い浮かべながらする。授業中は実際に顔を見ながら反応をうかがう。
そのターゲットの顔が毎日違うようになれたら良いですね。

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