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新しい観点での評価 誰が評価されているのか

今年度より評価の観点が大幅に見直された。

中学ではまだ始められていないこの観点も、いよいよ小中完全実施が見えてきた。この四月。完全実施である。まだ先まだ先と思っていた中学校教員たちも、高校受験のシステムが何も変わらないまま始まってしまうこの観点の複雑さを肌で感じる頃であろうか。

現場では、それに伴って現職の教員にこんな指導がされている。

 2学期の通知表作成状況より、以下の点で課題があると感じます。
● 児童一人一人のよい点や可能性、進歩の状況については、個人内評価として取り扱い、観点別学習状況に加えません。
● ペーパーテストの成果に偏った評価はしません。
● これまでの観点別学習状況の観点の順序が変更され、3観点の実現状況にも関連性があるため、評価のばらつきは少なくなるはずです。
● 自ら学ぶ意欲等の能力の育成を目指し、どの教科にも「関心・意欲・態度」が位置付けられてきたが、「主体的に学習に取り組み態度」に変更されたことで、知識・技能の習得及び思考力等の定着に課題がある児童の学ぶ意欲を認めることは難しくなっています。
● 「提出物を出す」「ノートをきれいにとる」等については個人内評価の対象に含まれるため、観点別評価の対象とはなりません。
以上は、先生方の通知表の状況説明より気になったことです。
上記の課題を解決するためにも、4月当初に提案した「評価メモ」の考え方を活用し、「指導と評価の一体化」を進めてください。

こんなことを言われてしまう新しい観点が実施された現場からは、悲鳴にも似た声が上がりそうだ。

働き方改革が叫ばれ、一体何が改革されたのかわからないまま時間だけが過ぎている。通知表は校長のものではなく、子どものもののはずだ。しかし、現場では校長の意に沿ったものではないと認めてはもらえない。
確かに、びっくりするようなことをしてしまう教員は日本にも存在している。犯罪は起こしていなくても、やる気のかけらも感じられない“先生”もいるのは残念ながら事実である。
だからといって、全員がそんな先生なはずがない。テレビや雑誌に出るようなスーパー教員ばかりではないが、時間をかけて仕事に真摯に向き合っている教員の方が多いはずだ。
そんな真面目な先生もほど、今回の新しい観点に沿った評価には頭を悩ましていることだろう。

しかも、である。
上記のようなことを、新しい観点に対する予習なく指導されてしまうのである。心底忙しく感じているときに、これを言われたらキツいだろう。
今まで積み上げてきたものを全否定されてしまうように感じてしまうこともあるだろう。

どうか、である。
どうか、きちんとわかりやすく説明してから実施してあげてほしい。校長が自分だけでは処理しきれない課題を、アンケートという形で担任にやらせるだけやらせ、頭だけ取り上げて指導したつもりになっている。
現場の実際は全くふり返れてなくて、結局担任たちはどんどんと時間を削られていく。

一体どこに向かっているのか。
何のための評価か。誰のための評価か。
そもそも評価とは……

まるで評価をするために授業をしているような感覚に陥る。知識を身に付けさせることは確かに必要だ。評価も必要だ。
でも、人間が人間を育てているのである。
教員も子どもに学びながら一緒に成長していっているのだ。

毎日毎時間評価をとるのか?
どんな顔して授業をしているのかなあ。
子どもと一緒に笑い合えるのが、授業だと思うんだけどなあ。

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