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13年前の育児日記② 男性が育休を取って気づかされたこと

育児休業をとってみてわかったことは多くある。
その大変さももちろんであるが、社会が、男性が育児をとることについてどう思っているのかということもよく感じさせてもらえる。

まず、スーパーで買い物をするとき。
重いかごをレジから荷物入れ場まで運ぶとき、お母さんが子どもをおぶっていたり抱いていたりすると、レジの方は親切にかごを商品を袋に入れるところまで持っていってくれる。

私の場合は、この経験が一度もない。まず運んでくれない。
確かに私は体も大きいし、力持ちさんかもしれないが、その時やることは女性と同じである。お金も払うし荷物も詰める。おんぶひもが苦手な私は、抱っこひもメイン。結構大変であるが、誰も優しい手をさしのべてくれない。
むしろその逆で、『お父さんと平日の真っ昼間に買い物に来るなんて、家庭的に何か問題でもあるのかしら』なんて感じで、周りからよけられてしまうこともある。服装の問題か?いや、ジャージっぽい時もあるけど、綿パンにポロシャツのときだって同じである。ママ友なんかできやしないさ。(そりゃパパだもんね)。

市からお知らせが来るので、育児相談なんかに行っても、今日は特別にお休みをとって来た、という思いこみを確実にされる。これはどこに行ってもそう。医者も保育園も。そこで、育児休業中ですと話すとまずビックリされる。そして、相手が女性なら「とても良いことをしているね!」男性なら「すごいね」か、無言……。これは①に書いたけど。

女性ですら、世の男性が育児休業をとるとは思っていないんだな。男性の育児参加を呼びかけるのは、男性だけでも女性だけでもダメだよねえ。両方が言わなきゃ。まだまだ、男性が育休をとっていないことがよくわかる。

最後に職場。
頼まれた書類を持っていったり、自分の代わりに入ってもらった代わりの人にアドバイスをしにいったりした。無給ではあるが、できることをできる範囲内でしてあげたいとも思う。

そしたら先日上司に呼び出された。

「会社に来るな」

どうやら、男性が育児休業をとるということは、育児をしても良いよ、というのではなく、「育児しかしてはだめだよ」ということのようである。ビックリした。たまに職場に顔を出すだけでなく、旅行もだめ、なにしろ育児のみ許されるとのことらしい。信じられます?

多分、私が職場に行くことがおもしろくない人からのプレッシャーがあったのだろうとも思うけども、あまりに言い方が時代遅れでひどくてビックリした。私が職場に行かなくなれば、その部署は戦力ダウンは必至(自分で言うのも何だが……)、他に有利だから。

一番驚いたのは、今の自分の取引先の関係者に、議員さんでもいたら、これはまったく正反対になりますよね?って聞いたら「うん」だって。

足の引っ張り合い。人の善意を平気で土足で踏みにじる。それが信じられん。

ちなみに、旅行もダメらしい。気晴らしもだめ。外出は買い物でしてるでしょ、だって。育児ノイローゼになりなさい。しょっちゅう子どものそばから離れるなって。

だけど、書類を持ってくるのは、上司命令だから良いらしい。じゃあ、引き継ぎのアドバイスは?説明は?来るなと言うのは職場だけ。その理由が育児に専念するためだって。なんと苦しい言い訳か。

をかぶるのは、現場にいる私たち。
何より、勝ちたいと思って毎日練習している選手たち。
上司の人たちは、保身で精一杯です。説明の言い訳がましく、納得できないことと言ったらありません。

私は自分の息子のために育休をとった。そして、頼まれたことでできることをしていたい。それが、自分を信じてくれている子どものためならなおさらだ。しかし、来るなって。理にかなった説明をできる人は一人もいないようだ。

とまあ、まだまだ、男性の育児参加にはハードルがいくつもありそうだ。以前お世話になった女性の先生から聞いた話だが、その女性の先生がちょうど育休ができた時代だったらしく、当時の校長に「あんなくだらん制度使わんわな?」とか「育休なんてとるわけないはな?」なんて言われたらしい。今(2007年)では大問題になるであろう発言である。「旅行もダメ」なんて問題発言だと私は思うのだが、つまりは、男性が育休をとるということ自体が珍しいんだな。だから、お偉いさんたちも慣れてないから、何とか何も起こらず育休を終えてほしいと思っているのかな。職場に顔出したって問題が起ころうとは思えないが……。

男性にとって「当たり前の時代」が来ることは、まだまだ遠そうだ。

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