見出し画像

海王星の使い方~人生で何度も起こってくる出来事

海王星は使うことが難しい天体です。海王星のあるハウスを考察してみれば、それがよくわかります。そのハウスにはまるでベールがかけられたように幻想と迷妄感が漂います。他者から見たら「どうかしている」行動に走りがちです。たとえば2ハウスにあれば、金銭面でそれが現れたりします。海王星が働く領域は、多くの場合、現実や現在地が正しく把握できないのです。また、海王星のハードアスペクトは相当に厳しいものです。



しかし、海王星には二つの顔があります。冷酷無比で氷の女神のような一面と、この上なく優しい菩薩のような一面です。本当に現実や運命を動かしているのは潜在意識(無意識)です。たとえば、DVやストーカー被害のようなものに繰り返し遭遇する女性がいたとします。あるいは、恋人やパートナーから深い傷を負うといったケース。その場合、私たちはDVを行う側の人やストーカーこそが悪いのであって、被害を受ける側には何の責任もないと考えます。



でも、出来事や出会いを生じさせる「運命の仕組み」はそうではないのです。すべては「私」の無意識にあるものが現象化しています。それは占星術や潜在意識の仕組みを知っている人なら、痛いほどわかるはずです。占星術で言うと、たとえば、アセンダントとディセンダントの関係性です。太陽と火星を使わず、被害者意識を持っている人には、代わりに他者や出来事が太陽や火星を見せつけてくることになり、強引で暴力的で一方的な人物や理不尽な出来事に翻弄されます。月の不安感(幼少期の傷)やリリスの痛みやジュノーの被害者意識などを見ないようにしている場合も、同じようにそれが現象化されます。



それはその人を苦しませるためではなく、「あなたの中にある能動性や創造性や主体性を発揮してないですよ、あなたの中に痛みを抱えた幼子がいますよ」というメッセージです。すべての原因は内側にあり、真の原因に気づかせるために起こっています。現実を直視することができる人、責任主体の位置に立てる人はよいですが、それがどうしても苦手な人もいます。その時こそ、海王星を使うといいのです。



まず、何度も何度も起こってくる出来事、自分自身の人生のパターンを見つけます。そして、それを夢物語を見るように、映画を見るように、ただただ、そのまま眺めてみるのです。暴力的な男性に翻弄されている時、どんな心象風景が拡がっていたか。攻撃的な人に責められた時、どんな感情や感覚が沸き起こっていたのか・・・・



自分を責めないで、ただ根気よく感じてみます。すると、その奥にある心象世界やモチーフのようなものが浮かび上がってきます。その不快な感覚や痛みはどこか遠い幼少時に感じたものかもしれません。または、過去生と呼ばれるものの中に浮かび上がるかもしれません。そのアーキタイプやモチーフが象徴しているものを見つけ出します。そのモチーフは奇妙奇天烈でグロテスクなものだったりします。



男性から繰り返し辛い体験を与えられる女性の場合、幼少期に体験した父親との物語が存在していることがとても多いです。それはとても小さなことかもしれません。突然に父親が怒りだしたことが原因かもしれません。けれど、幼い少女にとって、自分を守ってくれるはずの父親が突然に怒りを露わにするという体験は、世界がひっくり返るほどの恐怖や絶望感となり得るのです。そして、私たちはそれを感じないように無意識下に押し込めます。



すると、その痛みや恐怖は自己主張を始めます。気づいてよ、私を見てよーーと。それでもそれを見ないでいると、外側にそれが映し出されます。現実を変えようとしても上手くいかないのは、こういった理由です。私自身も月を直視できるまで、何度もパートナーシップで痛い思いをしました。


たとえば、潜在意識のカウンセリングも有効ですし、心理的アプローチも大きな効果があると思います。ただ、生々しさに耐えられない、その痛みに耐えられないという場合、海王星的アプローチを使ってもいいのです。それは、自分とは関わりのない場所で繰り広げられる物語を見るように、内側にある心象風景を認識してあげることです。反対側から見ると、心象風景が本当のリアルでもあるからです。



海王星は曖昧です。曖昧さや幻想性とは時にこの上なく優しく、そして救済を与えてくれます。まるで、私たちの知覚に麻酔をかけるように・・・海王星の曖昧さを上手く使うことは大変に難しいことですが、使い方をマスターできると、大きなギフトを与えてくれます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?