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蠍座の月〜私たちに必要なものは必ず得られる

蠍座というサインには特別感があります。蠍座のエネルギーは「一歩間違えるととんでもないことになるーー」そんな感覚を抱かせるものです。特に「蠍座の月」はどこか腫れ物に触るようなデリケートさを持って語られることが多いです。占星術師さんたちが「少々言いにくいのですが」とか「語弊があるかもしれませんが」などと前置きをしてから、蠍座の月について語るのを見たり聞いたりすると、次にどんな言葉が飛び出してくるのだろうかとワクワクもするし、ドキドキもするわけです。



石井ゆかりさんは次のように述べられています。
ジョナサン・ケイナーは、蠍座に月があるのは、いっちゃわるいが
「パラノイア」です
といってましたが、
まあそんなことになるのです。
もっと日常語でいいますと、
おもいこみがつよい
自分の思いこんだことに支配される
人になってしまうのです。



これは確かにそうなんです。月が蠍座の私自身、実際にそうだから(そうだったから)です。でも、蠍座の月を持っている人は一見そうではないように見えるはずです。そもそも月は心の中の世界です。太陽のようにあからさまな発露の仕方はしません。そして「蠍座の月の危うさと鮮烈さ」がどんな時に発揮されるかは、ある程度限定されています。



蠍座的パラノイア(私が月蠍の当事者なのでこんな表現を許してくださいね)が発露される主たる場面。それは「自分にとって重要な人間関係に亀裂が生じた時、愛が失われると感じた時」です。特に恋愛やパートナーシップにおいてです。大切な愛を失うかも知れないと感じた時、幼気な蠍座の月はいよいよ発狂するのです。



私を愛さないと言うのなら、刺し違えてでも私を愛してもらいますーーそんな非言語的な訴えを表現してみても、もはや相手の愛を繋ぎ止めることはできないとわかったなら、きっと蠍座の月はプライドも何もかもをかなぐり捨てて、こう叫びます。



わかりました。あなたの愛を失うのなら、それは私にとって死を意味しますーーこれを言われた相手、あるいはこのエネルギーを向けられた相手は本能的に恐怖を感じるでしょう。たとえ口に出さずとも、存在自体からこのようなエネルギーが漏れ出します。この脅迫的切実さが蠍座の月が腫れ物のように扱われる正体だと思うのです。



これは蠍座というサインが「対象物と一体化することで自分を知り、自分になる」という特性を本質的に持っているからです。誰かを好きになると自分の軸を相手に預けて一体化しようとし、それを失う時に蠍座の心は一度死ぬのです。この狂気のような、ナイフのような情念の濃さが自分の中に存在していることをわかっているからこそ、蠍座の月を持つ人は時に感情をうまく表現できなかったり、心がフリーズしたり、深く激しく揺れ動く感情を隠そうとします。



それは母親との関係性に由来しています。月は母を示します。実際の母親がどうであったかよりも「その方から見た母親像」を示しています。月が蠍座にある方のお母様は、その方にとって蠍座的であったわけです。いつ怒り出すかわからないからビクビクしてしまう、突然にこちらの急所を突いてきて平気で心を破壊する、いつも見透かされているような気持ちになる、見えない鎖で監視され呪縛されているような感じがする・・・



そんな得体の知れない感覚を母親に対して抱いていたのではないでしょうか。幼い子どもにとって、母親は庇護してくれるはずの存在。自分自身の生存の安定や心の安心を守り、ケアしてくれるはずの存在が、同時に脅威でもあったーーだからこそ、蠍座の月(心)は「深く特別な誰かとの絆」を強く求めています。



母親からそれを与えて欲しかったのに得られなかったため、成長するにつれ、違う相手から全力でそれを得ようとします。多くは恋愛においてです。それを一度得たのなら、今度はそれが失われないかどうかに最大の注意と関心を向けるようになります。だからこそ、蠍座の月には独特の洞察力がある一方、それがパラノイア(病的思い込み)にもなるのです。



いつも深い場所で疼いている「愛を失いたくないという病的なまでの切望」が正しい判断力を失わせます。実態のないことにもすぐに疑いの念を向ける。そして、強迫観念に駆られて湧き上がる疑いや不安のほとんどが思い込みや幻想なのです。



月は切実な欲求であると同時に、それを暴走させると最大の囚われと盲点にもなります。それに対する処方箋は自分を知ることです。自分が何を強く欲しているのかを知る。自分の心は何によって安定を得るのかを知る。そして、月という幼気な心に支配されないことなんです。



蠍座の月を持っている人は多かれ少なかれ、自分の中の偏執的な心・暴走する狂気に気づいていると思います。だからこそ、無意識的に冷静であろうとし、穏やかであろうとします。実は救いはそこにあるのです。冷静さと正しい客観性を持っている限り、蠍座の心は誠実でピュアです。



本来の美点=誠実で純粋で素直であれば、あなたは愛されます。必要としている「特別な愛」はそこにやってきます。安心してください。月の本能的ニーズは必ず得られるようにできています。不思議ですが、だからこそ、私たちは生きていけるのです。そのためには月という内側の心の世界・感情世界にコントロールされず、太陽という意思で動機づけをして月を成熟させていくこと、それに尽きます。



太陽が蠍座の方も月が蠍座の方も、共通点は誠実でまっすぐであること。蠍座の狂気的情念は扱い方次第です。それがあるゆえに蠍座は魅力的でもあります!いつも少しばかりのユーモア、自分を外から眺めて笑える余裕を持っていてください。生来、蠍座の月を持つ人たちはなんとも言えない天真爛漫さが輝くチャーミングな人が多いのですから。


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