見出し画像

買い物できなくなったら物欲が復活した

一時期、欲しいものがわからなくてちょっと悩んでいた。流行りのコスメも、服も、アクセサリーも、なんとなく「買っといたほうがいいから」「年齢相応にちゃんとしなきゃいけないから」という理由で買っていた。

そのころは、買い物がぜんぜん楽しくなかった。デパコスのカウンターに怯えてる自分を恥ずかしく思っていたし、服を買いにいくたび、店員さんに品定めされているようで気後れしていた。

東京にいるといつも、お金を使っていないと爪弾きにされるんじゃないかという漠然とした不安に駆られる。「今日こそ買い物するぞ」と意気込んででかけて手ぶらで帰ってきた日は、社会不適合者のレッテルが貼られてるような気持ちになる。東京はこわい。いや、東京のせいにするのはズルいかもしれんけどさ。


しかし皮肉なことに、コロナで外に出られなくなり、旅のキャンセル料支払いや仕事の中止でお財布がたいへん厳しくなり、とてもじゃないけど買い物を楽しめる状況じゃなくなってしまった今、私の「ほしい!」が復活しつつあるのだ。

将来的に買えるかどうか別として、IKEAのオンラインショップを覗いたり、楽天Roomで気に入ったものに「いいね」したりする時間が、今の癒しになっている。

「だめ」と言われると欲しくなる子どもの心理なのかもしれない。いろんなストレスとか、抑圧とかへの反動なのかもしれない。心理カウンセラーの人が見たら「よくない傾向ですね」なんて言うのかもしれない。

だけど、気を抜くとふっと気力を失っちゃいそうになる今の状況で、「欲」があることが私は喜ばしいのだ。あれが欲しい。これを買いたい。なんの高尚さもないけれど、ちっちゃな希望ではある。

どんなに些細なことでも、今この状況で持っている「欲」は私にとって灯火(ともしび)だし、消さないようにしなきゃなと思っている。

自由に外に出られるようになったら、IKEAに行ってカートいっぱいに雑貨を買うんだ。

サポートいただけたら、旅に出たときのごはん代にさせていただきます。旅のあいだの栄養状態が、ちょっと良くなります。