「マジョリティ」「マイノリティ」という言葉の濫用
大手IT企業サイボウズが、多様な働き方をコンセプトに掲げる
「サイボウズ式」というメディアを運営している。
そのサイボウズ式がnoteと提携し「#私の仕事」というテーマで一般からコンテンツを募集している。
そのサイボウズ式の投稿に首を傾げたくなる投稿があった。
「マジョリティ・マイノリティ」の濫用
この記事で一番気になったのが仕事のあり方に「マジョリティ、マイノリティ」という言葉が安易に持ち込まれている点だ。
本来のマジョリティ・マイノリティの意味とは?
人権運動にそれなりに関心を寄せてきた人間として、「マジョリティ・マイノリティ」は慎重に使わなくてはいけない言葉である。
この日本社会では生まれた場所、属性、置かれた場所・環境によって自分の努力ではどうにもならない困難を抱える人が多くいる。
例えば在日外国籍者、海外ルーツ者がそれに当たる。
本人の努力や能力と無関係に属性で社会から存在を決めつけられる。
現に本名が外国人、外国風、見た目が外国人というだけで役所や金融機関から日本人には考えられないくらい問い詰められる。また、名前や見た目で警察から職質を受けた人も枚挙にいとまがない。
こんな取材もあるが、本当に一例に過ぎない。
外国ルーツ以外にも存在する「日本のマイノリティ」
マイノリティはなにも海外ルーツ者だけではない。
近年日本で人権活動をする人たちの間で定義される「マイノリティ」は他にも主に以下の方が該当する。
1.先住民族(アイヌ・沖縄)
2.被差別部落出身者
3.性的マイノリティ(LGBTQ、セクシャルマイノリティ)
4.宗教や政治的信条
5.障がい者・持病などの疾病
6.出身地(沖縄、広島など)
参考に、現在相模原市で進められているヘイトスピーチ規制条例では被差別対象を以下に定めている。
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「マイノリティ」を標榜する安易さ
日本ではSNSでは「自分は少数派、変わり者です」と自嘲する投稿はたびたびある。
そのうえでサイボウズ式の「マイノリティ」という使い方は余りに軽く、安易に思えてしまう。
マイノリティという言葉の向こうには「背負わされている人」「望まない立ち位置を強制される人」がいることを忘れてはいないか?
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