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植物の色や形を移して染める、花葉のおき染め

この半年から1年くらいの間、うずうずと眺めていたある植物染めに手を出してしまいました。
バンドルダイ、ボタニカルコンタクトプリント、エコプリントなどと呼ばれている、植物素材の色や形を直接写し取る手法です。 まさに一期一会、世界に一枚だけの作品ができあがります。染料植物を使うよりも、身近で採集した草花、ハーブ、落ち葉などの素材を使うことが醍醐味のように思います。

染め付けるテクニックは、特に日本語圏ではヒミツ的なありがちな残念さがあるので、YouTube(ざっくりしてることが多い)やその他細々とした情報を参考に挑戦しています。ちゃんとヒアリングしないで雰囲気で見ているので曖昧ですが、やり方にはいろいろバリエーションがあって、特にこうでなくてはというものでもなさそうです。テクより素材の部分も大きいし。

まだまだ方法を確立したとは言えませんが、我が家のプランターや道端の雑草の葉や花で実験した様子を載せてみます。

バンドルダイ、エコプリントとは?

植物染めの一手法で、布に直接植物を置いて染めつけます。前のポストで紹介した、イースターエッグを植物染めする際にたまごを包んだ布側にも葉っぱの模様が染まったことから始まったという話もあります。

お酢や重曹を使ったり、植物を媒染剤に浸したり浸さなかったり、処理はいろいろですが、とにかく布の上に葉や花を置き、その布をくるくる丸めた後、糸などでグルグル巻にして布と植物を固定します。このグルグル巻きがバンドルダイの呼び名に繋がっているようです。巻く時に木の枝などの芯を入れたり入れなかったりという違いもあります。

巻いた布は大きなお鍋で1−1.5時間程蒸したり茹でたりして、色を染み出させます。その後、自然に冷ましてから開いて植物を取り除き、一旦干して色を定着させた後、水洗いします。

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ちなみに、上の実験染めは、正方形の木綿布の半分に葉を置いて、挟んで染めています。フウロソウ(広がった葉っぱ)とブラックティーツリー(小さな針状の葉の枝)は鉄媒染でグレーが出ていますが、ほかの葉(ヨモギ、ドクダミ、オニグルミ)は無色かぼんやり色が出た程度、ドクダミの葉脈から出た赤色は水洗いで消えてしまいました。

巻いたバンドルと、バンドルを解いているところの動画をご覧くださいませ

なんとか形になったもの

■フウロソウ
春の雑草、フウロソウ
葉っぱの形がおもしろいので摘んできました。実験で綺麗に形が出たので、布一面に置いてみました。少し緑が出ているのは藤です。
五月になったところで花が咲いて枯れてしまったので、この子をまた試せるのは来年になります。

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■春の庭
我が家の植え込みやプランターから摘んできた花びらと葉っぱ
バラ、ビオラ、ヒュウガミズキ、トキワマンサク 

赤いバラの花弁の色と、ビオラから青が出たのが嬉しい作品

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試し染め

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右のフウロソウは初めにのせた写真のもの。洗ったらグレー以外はぼんやりになっています。

左上、これもいろいろな葉を乗せてみたけど、形まで出るのはバラとブラックティーツリーだけとわかりました。他の、緑や茶色だけ出てるのは、ツツジ・桜・桃の葉、しのぶ、だったかな。

左下、白と、アボカドの染液を染み込ませた布の2枚に挟み込んでみたもの。なんだか宇宙っぽい? グレーが出ているのはブラックティーツリーとバラの葉、後はほぼ白抜きのシルエットですね。犯人はカレンデュラ花、エリカ花茎、レモンバーベナ新芽、ローズマリー、タイム茎ごと、もみじ葉。
バラの葉は品種によって色が出たり出なかったりします。

全体的にぼんやりしているのは、布を濡らしすぎだったかもしれません。
また、水洗い前に一度しっかり乾かす方がよさそうです。

とりあえずまとめ

花や葉っぱの形をしっかり写し取るのはなかなか難しいです。
今回のはほぼ全部鉄媒染(一部アルミ媒染)で、グレーに形が出た素材はタンニンを多く含んでいると考えられます。対して、新芽の柔らかい木々の葉っぱやハーブは全滅でした。
つまり、食べたら渋!、苦! みたいなものが良くて、やわらかくて美味しいものはあまり向いていないということですね(バラの花も結構な渋みあります)。
春先でふわふわの新芽ばっかりというのも不利な条件だったかもしれません。同じ植物でもいろんなものを溜め込んだ秋の葉や落ち葉だと結果が変わってくるように思います。

海外の作家さんの作品を見ていると、葉の形をしっかり出したい人はユーカリの仲間(今回ならブラックティーツリー)やウルシの仲間、落ち葉を使っていることが多いみたいです。

最後に試し染めで気になったところのアップ画像をどうぞ

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