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青のフィトピグメント(植物顔料)

植物の色素を取り出して顔料化したもの、植物顔料を作っています。手作り石けんの着色に使えないかと取り組んだのがはじまりで、講座をさせていただいていた時にフィトピグメントと名付けて商標を登録しました。

私が発明した物ではなく、染色の現場では廃液処理だったり、紅型染めや木版プリントの色材作りに使われている手法で、フィトピグメント講座ではキッチンで少量を作りやすいように工夫した方法をご紹介していました。

青が出る植物

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さて、青い植物顔料といえば、沈殿藍があります。自分で作るのはとても大変なので、嗜みとして挑戦はしますが、簡単に購入できるインド藍からのものも常備しています。あと臭木も青が染められて顔料化もできそうなのですが、ちょっと私の周りでは手に入りにくくてサンプルを作るほどの実験ができていません。
そして今回、また別のある植物から、青い顔料を作り出すことができました。

その材料は。。。

藍や臭木より圧倒的に簡単に、ご近所で手に入る野菜、赤キャベツ(紫キャベツ)でした。

赤キャベツの色素といえば、理科の教科書にpHで色が変わる実験が掲載されていて、酸性で赤、中性で紫、アルカリ性で青、緑、になることを覚えている方も多いと思います。
pHによる色変化はアントシアニン系の色素の特徴です。
赤キャベツの色素複数あるのですが、主色素はルブロブラシンAというのだそうです。

アントシアニンの、例えば赤い花弁を使って染色を行う方法は、はなびら染めなどと呼ばれる特別なもので、一般的な媒染剤は使いません。つまり媒染剤の金属による顔料化を行わない(顔料化できない)ものが多いと認識していたので、今回の結果は驚きでした。
調べてみると、赤キャベツや赤紫蘇の色素(シソニン)は金属とキレートを作りやすいという研究がありました。思い込みは良くありませんね。

顔料化過程

使用した赤キャベツは近所の生鮮食品店で購入、おつとめ品で1/4玉 90円

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ざくざく刻んだキャベツを白っぽくなるまで茹でた茹で汁から顔料化。右上で青いのが沈殿しているのが分かると思います。

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沈殿物を洗浄、濾過して乳鉢で粉末にしました。

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乳鉢にくっついた分をなんちゃって絵の具化して色見本に。
きれい ♪

顔料もpHで色変化するのか?

なんちゃって絵の具化したもので、ちょっと確認実験。
この色素は顔料になってもpHで変化する性質が残っているのでしょうか。

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汚い実験でごめんなさい。

紙に絵の具を塗ったものに、お酢、クエン酸水、重曹水、炭酸ナトリウム水を垂らしてみました。

クエン酸で赤、アルカリ性の重曹や炭酸ナトリウムでは緑になりました。
お酢は、垂らしたときは赤紫だったのですが、乾燥の間に酢酸も揮発してしまったようで、青に戻っています。
重曹水はpH9未満の弱アルカリ性ですが、それでも緑味になっているので、ベースの青はかなり中性寄りの弱アルカリ性ということかと思います。

顔料化してもpHセンサーとして使える、つまり、キャベツ絵の具を塗った紙がpH試験紙になるということですね。
また、石けんは重曹よりpH高いこと、強アルカリでは分解してしまうことから、苛性ソーダを使う手作り石けんでは青を残すのは難しそうです。

おまけ、イースターエッグ

顔料ではありませんが、2年前にこんな遊びをしていました。
期せずして同じ色です。

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ゆで卵(殻付き)を染めたイースターエッグです。

青いのが赤キャベツ液に浸したもの。
卵の殻は炭酸カルシウムが主成分で弱アルカリ性なので、青く染まる、と当時ブログで解説していました。
オレンジはルイボスティー、黄色はカモミールティーだったと思います。
他の色に染まるハーブティーも紹介しているので、こちらもお試しください。


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