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ふつうの愛好家が、スポーツを強くする

(こちらは2022年1月に共同通信社から地方紙向けに配信された「千種ゆり子の空てんき」記事です。共同通信社からは許可を得て、そのままの文章でnoteにも配信しました。内容は最新のものでない場合があります。)

地球温暖化が進むと、国内ほとんどの地域で雪の量が減ると言われています。雪国で暮らす人の多くが雪が減ることを喜びますが、スキー場経営者やウィンタースポーツの愛好者にとっては放置できない問題です。少雪の影響で休業や廃業に追い込まれているスキー場もあります。


しかしスキー場が苦境に立たされている原因は、気象的な要因より、社会的な要因の方が大きいとする研究があります。ピーク時の1998年には約1800万人だったスキー・スノーボード人口は、2019年には約510万人、20年は約430万人まで減りました。少子高齢化、若者の車離れなど様々な要因がありそうですが、ここ数年はコロナが追い打ちをかけていると思います。


実際に新型コロナが拡大したこの2年も、多くのスキー場が休業や廃業に追い込まれました。国民の巣ごもり傾向に伴い、ゲーム・動画を見ることが趣味というインドア派が増えたことと深い関係がありそうです。私もコロナ禍を理由に空手稽古をお休みして早2年、ゲームのプレイ時間が増えました。最近接したスポーツといえば、家で観戦した北京五輪くらいです。


その北京五輪。平野歩夢選手と小林陵侑選手が金メダルを獲得しました。平野選手は新潟県村上市、小林選手は岩手県八幡平市といずれも豪雪地帯の出身で、身近にスキー場がある環境で育ちました。そのスキー場を支えたのは、日本のスキーブームと多くの愛好者でした。スキーに限らずスポーツ全般に言えることですが、私のようなスポーツ愛好者が減ることで裾野が狭くなります。競技人口が減り、競技場が減り、選手も練習場所の確保に苦労する…そんな悪循環が、今後増えてくる気がしてなりません。


気象予報士 千種ゆり子


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