宮野由梨香

評論家。人類史研究家。光瀬龍論で第三回日本SF評論賞を受賞。

宮野由梨香

評論家。人類史研究家。光瀬龍論で第三回日本SF評論賞を受賞。

最近の記事

41 作品が残るかどうかを気にすること

ここ二週間ほど、「ニーア・オートマタ」の実況(牛沢さん)を視聴していた。 昨夜、ラストだった。 このところ、いろいろな意味で徒労感に襲われていたので、心にしみた。 「ああ、こういうものによって、私は何度も救われてきたんだ」と思った。      ○ 母はマンガやアニメやゲームを「くだらないもの」と決めつけた。これに関する苦労なら山ほど語れる。心理的にも物理的にも、いろいろな手口で攻撃されたよ。 私を何とかこの世につなぎとめているものを否定されることについて、私はせめて日記

    • 40 『百億の昼と千億の夜』から「と」を取りたい

       光瀬龍の代表作とされる『百億の昼と千億の夜』は萩尾望都によってマンガ化もされていて、かなり名の知れた作品である。  しかし、この作品の本当のタイトルは『百億の昼、千億の夜』なのだ。「と」はいらない。代わりに読点が入らなくてはならない。  光瀬龍がつけたタイトル『百億の昼、千億の夜』を、編集者が作者に無断で改変したことは、既に指摘されているし(立川ゆかり『夢をのみ 日本SFの金字塔・光瀬龍』469頁)、その編集者自身の証言もある。にもかかわらず、タイトルは無断改変された時の

    41 作品が残るかどうかを気にすること