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「迷いの砂漠」

気づけば私は砂漠にいた。
容赦なく照りつける太陽に
ジリジリと全身が焦がされていく。
極度に乾燥した熱い空気を吸い込むたびに
鼻の奥や喉の奥にヒリヒリとした痛みが走る。

一体いつ、どうやってここに来たんだろう
ずっと前からここにいる気がする一方
今までいた場所はこんなにも
熾烈な環境ではなかった気もする。

どんなに目を凝らして
遠くを見つめてみても
同じ景色しか見えない。
誰もいないし、何もない。

持ち物はひとつだけ。
私の右手に握りしめた
希望という名の小さな石ころ。
こんな石ころ一つが
この莫大な砂漠で
果たして何の役に立つのか。

途方に暮れる。
どっちに進めば良いのだろう。
そもそもここがどこの砂漠なのかも
見当がつかない。
この砂漠を出ればどこに行けるのかも
それがどのくらい遠いのかも
わからない。

このままずっとここにいては死んでしまう。
まず水が必要だし、
砂漠の夜は温度が劇的に下がると聞く。
砂漠ってサソリいるんだっけ?
毒ヘビはどうだっけ?
もしかしたら危険な何かが潜んでいて、
私のことを虎視眈々と
狙っているかもしれない。
どうしよう。

しばらく悩んだ末に
とにかくここから動かなければ
と勇気を奮い立たせる。

まずどの方向に進むのか
決めなくてはいけない。
決めるために参考にできる情報は無い
唯一の持ち物である
石ころに問いかけてみても
何も答えてはくれない。

しばらく思案した後
心を決めて進んでみる。

でも少し進むと、
間違った方向に進んでいる気がして
立ち止まってしまう。
来た道を引き返してみたり
違う方向へ行ってみたり…

不安に押しつぶされそうになり
立ち止まってもう一度見渡すが
景色は全く変わっていない

果たして私は進んでいるのだろうか
そもそも進む方向が
間違っているのかもしれない。
同じところをぐるぐると
回っている気もする。
このまま進み続ける事に
意味はあるんだろうか。

こんな石ころ捨ててしまおうか
そう思った直後に
この石を持ち続けることに
意味がある気がして
もう一度握りしめる。

私は助かるのだろうか
間に合うのだろうか

この石ころを持ち続ける事に
本当に意味はあるのだろうか

拙い文章を最後まで読んで読んでいただきありがとうございます!感想を聞かせてもらえると嬉しいです!