「自頭がいい」ってなんだ?

「自頭がいい人が応募してくるといいな」。採用条件をHiring Managerと話していると、こういう言葉を時々聞く。そんな時、イライラする気持ちをぐっとこらえ、「もう少し、違う言葉で表現すると、どんな人ですかね?」と、顔を引きつらせて聞くが、あ~、なるほど!と納得する答えをもらった経験はいまだにない。それと同時に私は心の中でこうツッコミを入れる「そういうあなたは、当然自頭がいいですよね?」と。

自頭がいい。実に便利な、言葉だが、その意味は千差万別だ。ただ、これまで”自頭”という条件を口に人達の理解を分析すると、いくつかの分類されることに気がついた。

①勉強が出来る。
これを連想する人は多いと思う。つまり「高学歴」。しかし、今のご時世、あからさまに大卒、院卒、大学名など、学歴を口にするのははばかられる。それを言い換えると、”自頭”ということになる。受験勉強を突破し、難関大学に入学し、卒業できたという事実から、「優秀に違いない」という思い込みだ。

②知識が豊富。
①の勉強が出来るに、意味合いが近いが、何か聞けば、まるでAIのように、関連知識がスラスラ出てくる人。物事を覚えることはなににつけ大変だが、その知識の範囲が広いと、「博識で知的」という印象に与える。

アイディアが豊富。
こちらも知識が豊富の延長でもあるが、何かの課題や問題に対面した時、”こんな方法がある”、”こういう見方も出来る”と、次々に出てくるアイディアがある人は、知識・経験が豊富で、「頼もし、リードしてくれそう」と思い。

いずれにせよせ、選考する側の好意的なバイアスであることに間違いはない。高学歴で、物事の知識やアイディアを持ち合わせていても、特定の仕事が出来ることと、イコールでないことはよくある。100歩譲り、知識やアイディアが豊富でも、それを実務に落とし込み、成果を出せるかどうか、これは別の能力が必要だ。例えば、クライアントに提出したデータにミスが発覚した。その際、どうしてそのようなミスが起こったか、あれこれ分析するのは後でいい、まずは、ミスを認め、クライアントにお詫びを行くのが先決。それをせず、あーでもない、こーでもないと、人のことを責めたり、仮定の話をしても、クライアントの信用を失ってしまったら、元も子もない。

チームの役割には、分析する人、データを集める人、データを分析する人、アイディアを練る人、アイディアの実行計画を立てる人、クライアントとコミュニケーションを提案する人、さまざまいる。それにより、必要なスキルや経験は微妙に違う。それを一色単に「自頭がいい人」とするのは、あまりに乱暴だ。

求人票に「自頭がいい人」と書いて、どんな人が応募してくるのか。そして自頭がいいのか、1時間足らずに面接でどう見定めるのか、一度実行して分析し、是非その結論を開示してほしい、自頭のいい人に。

「人生経験の引き出し」がいっぱいあります。何か悩み解決のヒントになる話が提供できるかもしれません。