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内田百閒先生をリスペクトして、この先の人生で食べたいものを列記する

最近、時間があると『ちくま日本文学全集 内田百閒』(筑摩書房)を読んでいる。内田百閒といっても知っている人は少ないかもしれない。夏目漱石の弟子だった作家で、黒澤明監督の遺作となった映画『まあだだよ』のモデルにもなっている。

読んでみると、なんかよく分からない短編が多い。エッセイかなと思ったら急に非現実的な出来事が起こったり、怪奇ホラーかなと思ったら特に何も起こらず終わったりと、掴みどころがないのだ。ただ、夢に出てくるくらいモヤモヤする読後感を残すので、首を傾げながらも読んじゃう。

そんな作品集の中に『餓鬼道肴蔬目録(がきどうこうそもくろく)』というのがある。戦時中に内田百閒が残したメモで、冒頭にこう書かれている。

昭和十九年ノ夏初メ段段食ベルモノガ無クナッタノデセメテ記憶ノ中カラウマイ物食ベタイ物ノ名前ダケデモ探シ出シテ見ヨウト思イツイテコノ目録ヲ作ッタ

「ひもじい思いをしているから食べたい物リスト作っとこう」ってことである。なんて人間らしいんだ! と僕は感動して、これだけで内田百閒先生を尊敬するようになった。

もちろん目録の中身もおもしろいので、ちょっと抜粋しよう。

いいだこ べか 白魚ゆがし 蟹ノ卵ノ酢の物 いかノちち いなノうす 寒雀だんご 鴨だんご オクスタン塩漬 牛肉網焼 ポークカツレツ ベーコン ばん小鴨等ノ洋風料理 にがうるか このわた 

こんな感じで延々と続く。魚料理全般から肉料理へと移っているから「そろそろ肉も書いとこう」となったのだろう。また「すうどん」の項目には「ナンニモ具ノ這入ッテイナイ上方風の饂飩ナリ」とわざわざ書き足していて、笑ってしまう。

項目を思いついたら書き足していたらしく、「ソノ後デ思イ出シタ追加」の欄もある。切羽詰まった状況なのに、ぼんやり連想にふけっていた百閒先生の姿を思うと、愛おしくなる。

僕も内田百閒先生をリスペクトして、自分がこの先の人生で、死ぬまでに食べたいと思うものをリストにまとめておこうと思った。いつ、食べたいものが食べられなくなるか分かったもんじゃないしね。

ルールは、①すなおに食べたいと思っているものを書くこと、②書くときにはメニューを検索しないこと(思いつきにまかせる)、③食の好みが変わっても項目を消さないこと、の3点くらいにしよう。

これ以降このページは、ただの僕のリストになる。その都度、思いついたら更新する。完全な自己満足だけど、死ぬまでにできるだけたくさん食べられたらいいね。

きんぴらごぼう がめ煮(筑前煮) めんたいこ(地元のがいい) 焼きうどん 焼きそば 焼きカレー 馬刺し 馬肉の寿司 鹿肉のソテー ジンギスカン サバの押し寿司 うなぎの白焼き 回鍋肉 青椒肉絲 茶碗蒸し 手作りのおにぎり 常夜鍋 ユッケ 豚キムチ炒め ロールキャベツ 爆肉(パイロー) 鮭のホイル焼き 石狩鍋 牛丼 とんこつラーメン(地元のがいい) ローストビーフ 生ハムの原木 白身魚のムニエル ざるそば(二八そばで天ぷらを乗せたもの) ごぼ天うどん(資さんうどんのがいい) スモークサーモン ミルクセーキ イカの塩辛 たこ焼き(店先で買うやつ) 尾道ラーメン ソフトクリーム(いい牛乳を使っていてほしい) シュークリーム チーズバーガー(弘前で食べたあのバカでかいやつ) 麻婆豆腐 ペペロンチーノ 白いご飯(つや姫がいい) ズンダ豆味のアイス ポークソテー カツ丼(ソース、卵とじどちらも) 寿司全般(いなりや巻き寿司も含む) たくわん(黄色いの) 鮭とば 鮭ハラスの塩焼き ぶり大根 ふろふき大根 ほうれん草のおひたし 青菜の胡麻和え ショートケーキ シュークリーム パフェ シュウマイ 餃子 クレープ お好み焼き もんじゃ焼き 人参のグラッセ 石焼き芋 ポテトチップス(うすしお) イワナの素焼き ヒメマスの串焼き しゃぶしゃぶ 焼き肉全般 すき焼き 八宝菜 オムレツ オムライス チャーハン チキン南蛮 ナスの甘煮 焼き栗 どら焼き フレンチトースト ホットケーキ 焼き鳥全般 オクラ納豆 納豆(水戸納豆がいい) タイの刺し身 フグの刺身 上海蟹 カニ鍋 エビフライ かやくご飯(五目ご飯) 三色弁当(折尾駅の「かしわめし」がベスト) コーヒー(濃いめで酸味の少ないもの) 三ツ矢サイダー りんごパイ 酢だこ けんちん汁 ハンバーグ(和風と洋風どちらも) 肉じゃが(カツ代風)

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