目に見えない大切なもの。26回目は「味覚」。
⭐️島の野菜は栄養価が高く美味しい!
先日、鹿児島の最南端の島、与論島に行ってきました。今年1月に一度行き、2回目は今年の4月。まさか同じ島に短期間に2回も行くなんて思いもよりませんでした。与論島は海がとにかくキレイ。透き通った淡い水色に白い砂浜。そして、島で採れる食べ物が感動するほどの美味しさ。この島でたくさんのパワーをもらい都内に戻ってきて、ふと思ったこと。島の野菜は美味しいのに、都内で買う野菜は全く味が美味しくないのです。
私より年上の知人も最近の野菜は昔に比べて美味しくないと口を揃えて言います。野菜のサイズが不自然に大きく、形が揃いすぎていて、人工的だと。昔はサイズも小さく、甘く美味しいものが多かったと。スペインの友達もスペインで食べるトマトと東京のトマトでは味が全然違い、スペインのトマトがたまに恋しくなるとのことでした。
⭐️第6の味覚が鈍化していたら要注意!!
美味しい、美味しくないと感じるのは舌であり、さまざまな繊細な味覚を感じ取ります。
味覚には「塩味」「甘味」「旨味」「苦味」「酸味」の5種類ありますが、最近は「脂味(脂肪味)」という第6の味覚があるのをご存知でしょうか。「脂味」の味覚が鈍っていたとしたら、あなたの味覚は鈍感していて、将来、不健康になるリスクが高まります。現在日本人の多くが今「脂味」を感じ取る味覚が鈍化していて、危険な状態にあるのです。
そもそも味覚とはどのようにして感じ取ることができるのかご存知ですか。私たち舌にある味蕾が味をキャッチ。味蕾 には5つの味覚を受け取る細胞があり、それぞれの味覚を脳に伝える神経とつながっています。そして、近年新たに脂味を脳に伝える細胞が発見されました。脂味は人間が必要としている栄養素を過不足なくとって、健康を維持するのに不可欠な味覚なのです。そしこの「脂味」の感度には個人差があり、鈍感な人ほど肥満や生活習慣病のリスクが高くなるとされています。
⭐️ 「脂味」の感度を取り戻す方法
「脂味」が鈍化しやすい人の特徴として下記の項目があげられます。
揚げ物を食べることが多い。
醤油ラーメンよりも豚骨ラーメンの濃い味が好き。
カップラーメン大好き。
食べ過ぎてしまうことがある。
満腹感を感じにくいのでたくさん食べてしまう。
肥満体型である。
野菜はほとんどとらない。
加工食品や超加工食品を食べることが多い。
お弁当はコンビニなどで済ませることが多い。
「脂味」は主に脂肪分の多い食品を継続してとることで鈍化します。
鈍化するメカニズムはまだはっきりとは解明されていませんが、脳で「脂味」を感じる部分が「脂味」に慣れてしまうため鈍化してしまう仮説がたてられています。そして揚げ物は中毒性が高い調理法であるにも関わらず、美味しいと感じやすくなります。脂肪分を多く含む食品の摂取量が多いと、脂味は鈍化し他の5つの味覚も感じにくくなってしまうんです。
九州大学で「脂味」に鈍感だった人に10日間、味覚改善目的で調理法などを変えた食品をとってもらう実験を行いました。10日間に設定したのは味をキャッチする味蕾は10日間で生まれ変わるとされているため。味蕾は新しく生まれ変わると感度が上昇するといわれています。
揚げ物→焼き物、蒸し物に
脂の多いラーメン→うどん、そば
脂身の多い肉→脂身に少ない部位に変更または白身魚
に変える、など。
そして10日後に「脂味」のテストを行ったところ、9人中3人は脂味に超敏感な舌に戻すことに成功しました。しかそ、残り6人は鈍感なまま。半数以上は舌が鈍感なままだったんですね。
⭐️ 亜鉛の不足が味覚異常の原因に!
鈍感なままだった人たちは、なぜ改善しなかったのか考えてみると、BMIが25以上の肥満状態の人だったり、朝ごはんを抜いている人だったり、要因はさまざま考えられます。
栄養の偏りがあると味覚は鈍化します。味覚異常に処方される薬には亜鉛が含まれている胃薬があります。ドラッグストアでは味覚異常の方に亜鉛のサプリを勧めることも。亜鉛不足は味覚を鈍化させます。美味しくないと感じることで食欲が低下する場合もありますし、味覚が鈍化することで、気づかないうちに濃い味付けになっている場合も。家族の人があまりに濃い味付けで、そこでやっと味覚異常に気づく場合もあるのです。
現代人の多くが亜鉛や鉄など、さまざまな栄養素が不足状態。
それは野菜、魚、肉などが抗生剤や肥料、農薬を駆使して急激なスピードで生産されているから。自然のスピードであればかなりの時間を要するものが私たちの欲求を満たすために短時間で大量生産され、食べ切れなかったものは大量廃棄されるように。大量廃棄されるものもコストに入るため、さらに生産性を高めなればいけない悪循環に陥っているのです。
⭐️健康のために旬の野菜や果物を食べよう
旬の時期のものは旬に食べるのが一番と言われます。都内では1年中、ほぼ全ての野菜が手に入るようになりました。季節感がなくなってしまったのかなとも思ったり。
クリスマスにはイチゴを店頭でよくみかけます。若い人たちは12月がイチゴが売れる時期で旬なんだと思っている方も多いよう。12月が旬だと勘違いするのはクリスマスはいちごが入ったショートケーキを食べるのが一般化されたから。現在、12月のイチゴの値段は以前ほど価格は高くないですが、12月に採れるイチゴはビニールハウスで温室で栽培され収穫されます。ビニールハウスでは自然に逆らって育てるために多くの農薬や肥料を使用します。ビニールハウス内で栽培するため、ビニールプラスチックの成分が溶け出していたりするのです。
いちごの旬は4月から5月にかけて。12月に無理矢理育てたイチゴと旬の4月から5月の時期に採られたイチゴを食べると甘味が大きく違うことに気付けつるはずです。
旬の時期ではない時期に採られた作物は栄養素も不足しています。また、農薬や肥料の大量使用により、生産された作物を食べれば、お腹も満たされないですし、農薬を気づかぬうちに大量に摂取していることにもなるのです。
⭐️食欲は本能的なもの、意思でどうにかなるものではない
私たちがとるべき栄養素が不足すれば、本能的にもっと食事がしたい、物足りないと思うのは当然のこと。必然的に食事量は増えますし、脳と心が満たされなければ、何かでそれを満たせないかと思うのは当然のこと。そこで、脳を一時的に満たしてくれる添加物まみれの調味料が大活躍します。
人工的に作られた調味料は人間の脳を麻痺させ、本物の食品の味を忘れさせて、塗り替えてしまっています。
以前、異性化糖の危険性についてお伝えしました。
私は食品の裏の成分表記には気を使い始めて、必ずチェックしてから購入するようにしていました。しかし、その時はなぜかパッケージの印象からなんとなく美味しそうと思って裏の成分表記を気にせず購入した商品がありました。自宅に帰ってから、食べようと思って成分表記みると、異性化糖である果糖ブドウ糖液糖の文字が。「あっ、何でこれ買ってしまったんだろう…でもまぁせっかくだし味見だけでも…」と一口、口にした瞬間、あまりのまずさに吐き出してしまいます。結局食べることはできずに廃棄しました。おそらく「脂味」が敏感になったため、本能的に吐き出してしまったのでしょう。今後は見た目では選ばず絶対に裏の成分表記は見てから買わないといけないと決意した瞬間でした。
友達とたまたまスーパーで買い物していた時、友達が「これ、濃厚ですごく美味しいから大好きなんだよね〜」と。どんな商品なのかを見ると、私が吐き出して食べれなかった商品を手にとっていたのです。それを見た時、これが美味しいってどういうこと?と思わず目を疑ってしまいました。彼女は甘いものが大好き。一緒に出かけた時も甘いものを買い、甘いものを見かけると「すごく美味しそう〜食べたい〜」と。以前の私のよう😅甘いものの話をしている時が1番幸せそうでした。自炊はしているけど、味付けが下手で全然料理が上手にならないことが悩みとのことでした。おそらく、砂糖中毒と、人工甘味料の味に脳が慣れてしまい、本来食材がもつ味のおいしさに気づくことができず、「脂味」が鈍化してしまったのでしょう。
⭐️子供たちの味覚が鈍化している
先日、高校の友達と食事をする機会がありました。友達には5歳になる男の子がいます。偏食で食べ物に困っていると。好き嫌いが激しくて食事を作るのが大変とのことでした。レストランで一緒に食事する時も好んで食べるのはポテトフライや揚げ物系。野菜は美味しくないとのことで吐き出してしまいます。友達は食事に関して話した際に、最近のお菓子類は以前に比べて味付けが濃くなったとなんとなく思ってはいたとのこと。私がよく利用している、オーガニック系のスーパーで添加物が使用されていないグミを購入し、自分の子に食べてみる?と渡してみたら、一口なめただけで、「まずいー美味しくないー」と吐き出してしまいます。まだ5歳ですが、おそらく「脂味」が鈍化してしまった可能性が高いのです。
患者さんにも5歳で偏食が激しい子がいました。2人姉妹で偏食が激しいのは5歳のお姉ちゃんの方。お母さんは何をあげても食べてくれないから諦めてとりあえず食べたいものを食べさせているとのことでした。この子は3年間ほど、かかりつけ薬剤師として私が担当させていただきました。身長が気付けば妹の方が大きくなり、お姉ちゃんは成長が止まってしまったよう。そのうち味覚異常の症状が出てきます。味覚異常のため舌に食べものをのせると違和感があるようで、手で舌を触り、気持ち悪いと感じている仕草をするようになります。そしてまだ5歳にもかかわらす円形脱毛症になってしまいました。円形脱毛症はストレスにより発症する場合が多いですが、5歳でストレス?と。😅おそらく、偏食により食事からの栄養が不足していたのではないかと思われます。味覚異常が出た時に、亜鉛が含まれたサプリを提案しましたが、亜鉛のサプリは成人してから飲むものがほとんど。当時は亜鉛が含まれた総合的なサプリ、小児用の噛み砕いて服用するサプリがあったためその商品を紹介。その後は薬局にあまり来ることはなくなりました。味覚が戻ったのかまではわかりませんが、後に妹さんよりも少し成長している姿をみかけています。少しずつですが食べれるようにはなったようです。
⭐️幼少期の味覚形成の重要性
小さい頃の味覚の形成はとても重要で、小さいうちに形成されないと、大人になったときに生活習慣病などのリスクが高まります。したがって親が意識し、指導していかない限り、子供たちは将来さまざまな病気のリスクにさらされるのです。
もちろん大人になってから意識し変えることはできます。しかし、現代は親も気づかぬまま、不健康な食品を摂取し、味覚障害が進行し重篤になっている場合が多いのです。
ちなみに幼少期に好まれる味覚は塩味、甘味、旨味の3種類。逆に幼少期に嫌われる味は苦味と酸味の2種類。小さい子供が大好きなポテトフライには塩味を効かせたものがほとんど。そのためポテトフライは子供に人気があるのですね。反対にピーマンは苦味があるため嫌いな子供が多いのです。
⭐️大人の脂味の鈍化が多くの疾患の原因に
先日20代の医療関係者の方と食事をする機会がありました。医療関係者であるので医療や薬の知識は豊富。しかし、一緒に食事をしていてある飲み物の味がわからないと。20代と若いのですが、お酒が大好き、逆流性食道炎で薬を服用していて、食事は加工食品などが多いようでした。私は酸味が強い梅の味であるとわかったのですが、その方は全くわからず。舌の調子がおかしいといっていました。おそらく脂味が鈍化してしまったのでしょう。
味覚はよく噛み、味わうことで、口の中にひろがり味の変化を感じることができます。その変化が食事をする上でとても楽しいのですが、現代人の多くは時間に追われ、飲み込むように食事をしています。視覚もとても重要でその食べ物をよくみてから味わうと、いろいろな感覚が研ぎ澄まされるのですが、現代は視覚はスマホに向けられ、聴覚はイヤホンに奪われてたりします。食事がいつのまにか作業のようになってしまっているのです。
そのような人のほとんどが、肥満であったり、心臓、血管、精神疾患を患ったりしています。
⭐️大好きなスナックが止まらなくなるのにも理由が
チートスというお菓子ご存知でしょうか?世界的に有名で、中毒性が高く、食べ始めるととまらないお菓子。日本でいう「かっぱえびせん」みたいなもの。
このチートス、びっくりするぐらい危険な成分で製造されています。そしてこれを食べると一時的に心と体は満たされるものの、なくなると不機嫌になり、麻薬中毒患者のように食べ続けるのです。薬に似ているため、精神的にも不安定になり、攻撃的になります。値段も安いため、中毒性の高さに買い占める人もでてきて、海外では社会問題ともなりました。
日本で販売されているスナック菓子、チートスと同じような成分が配合されています。このようなお菓子を小さいうちから頻繁に食べれば、舌の感覚が麻痺し、大人になってから不健康があるのです。
⭐️成分表記の見方について
さまざまなスーパーで裏の成分表記を見て最近思うこと。シンプルな成分の表記のものはほぼなくなり、さらに複雑でわかりづらいものが多くなりました。そして、大手スーパーで販売されている、大手メーカーの商品ほど、危険な成分で構成されているなと。買って口に入れても安全といえるものが少なくっています。しかし、私ぐらいの年齢の人や医療関係者で同じような考えを持つ人はほとんどいません。日本の食品は安心で安全、裏に成分表記まで見て買う必要性を感じないのか、時間がなくてめんどくさいのか、知らないだけなのか。
食べ物は薬以上にあなたの心と体を構成する重要なものであることを忘れてはなりません。
あなたの体はあなたが食べるもので作られるのです。
裏の成分表記をこれから必ずチェックしたくなったのではないでしょうか。しかし、成分の名前なんて聞いても複雑でよくわからないよ、と思っている方へ。あるポイントをつかめば、体に有害である食品を必要最小限しか取り入れなくて済むことがわかります。次回はその理由とともに選んではいけない成分と、選んでもよい成分の見分け方ついて説明します。
次回の目に見えない大切なものは「成分」です。