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仕事を真面目にしなくなったら昇進したという話(希少性の法則?)

希少性の法則という、社会学・経済学の法則がある。人間は、あるものが希少だと感じたら、そのものにより価値を感じる。

たとえば、ホテルの予約サイトで、「この値段であと2部屋しか残っていません」とか書いてあると、つい急いで予約してしまうような話だ。

この法則は仕事にも当てはめることができる。ある人材が希少だと感じたら、会社はその人材の能力を過大評価し、手放したくないと思い、あの手この手で引き止めようとする。

最近、もしかして、自分はこの法則を当てはめることに成功したのか?と思うような出来事があった。

昨年の夏から、自由時間を増やすため、会社員としての比重を減らしていくと決めて、色々と行動してきた。

1)時間給を上げるための給料交渉

2)テレコミュートする日を増やす

3)レベレッジのきかない他の人でもできる作業はすべて断る

4)自分にしかできないことだけ集中してやる

5)残った仕事の質を、短時間で上げることだけを考える。仕事が終わったら、何時であろうが帰る。

というようなことをしていたら、自分のところに残ったのは、本当に社内で他にできる人がいない仕事だけになった。

あまりにも仕事を断り続けてきたので、さすがに会社員としては立場が危ないかなと思っていたら、最近ボスに、「ユリの昇進を上司に打診して、承認がおりそう」と言われて目が飛び出そうになった。

これ以上仕事を増やしたくないので昇進はしたくないし、最初にお願いした昇給だけで昇進させられるのは意味不明なのだが、ボスが「僕えらいでしょ」みたいな顔をするので、「ありがとうございます」と言うしかなかった。

これだけ不真面目な態度を取っているのに、一体どういう事なのかと思ってよく考えてみたら、もしかすると私の行動は、自分の「希少性」を高めることにつながったのではないか?と思い当たった。

第一に、「この人はもしかして、仕事を辞めるのではないか?ここまで強気なのは、他に行く所があるのではないか?」と他人に思わせたこと。

第二に、自分以外に誰もできない仕事だけに集中することによって、「この人がいなくなったらまずい」と思わせることに成功したこと。

(←2つとも想像)

実際は、組織で働いている者の性として、私は代替可能である。他の人でも訓練すればできるだろう。ただ、現時点で私がやっている仕事を私と同じ速度で同じ結果を出せる人は、社内にいない。というか、私より絶対にうまくできる人が実は一人だけいるのだが、彼は忙しすぎて私の仕事に特化することはできない。

そして、よくよく考えてみると、私のやっている仕事は地味なのだが、実は会社にとって大きい意味を持つ。たとえば、去年のボーナスは、会社が2つのKPIを満たしたら、全社員に100%支給するという条件がついていた。そのうちの1つのKPIは、100%私の仕事の結果にかかっていた。つまり私がもしミスっていたら、全社員のボーナスが減っていたわけである。

・・・(汗)

今気づいたが、ものすごいプレッシャーである。いや本当に、一歩間違ったら首が飛んでいた。

思いかえしてみると、仕事のプレッシャーで悪夢を見た夜は数えきれないくらいあった。あるときは、自分のiphone操作ミスで、全社員のパソコンが感染するというとんでもない夢を見て、汗びっしょりになって起きた事もある。これはきっと、潜在意識でボーナスのことを考えていたんだな。

そういうこともあり、会社員の比重を減らしたいと思い始めたのだった。

というかこれも今気づいたが、こんなことを一人の個人に押し付けておいて、ちょっとした昇給で昇進させようとはボスもいいタマである。そういうボスにいいようにこきつかわれている私もどうかしている。

ちなみにどういう仕事かというと、もうほぼAIに乗っ取られてもいいような分野なのに、マシーンラーニングでは大まかなことしかできず、残りの作業を人間がゲームセオリーを駆使して頭で考えるみたいな仕事。マニアックすぎてあんまりやりたがる人がいないので、余計に希少性が出るのかも知れない。

この話で広く他の人にもあてはまると思うのは、会社員でも、自分の存在に希少性を出す事は難しくないし、希少性を出す事によって自分の給料やポジションを上げていくのは戦略としては悪くないということ。もし他の会社にも通じるような希少性を作る事ができたら、自分の市場価値が格段に上がると思う。





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