窓ぎわのトットちゃん

先に読んだのは
「トットちゃんとトットちゃんたち」です。
これは黒柳徹子さんがユニセフの親善大使として飢餓や戦火、災害、貧困に苦しむ国々(アフリカなど)を訪問したときの記録が書かれた本です。子どもに焦点をあてています。
わかりやすく丁寧で品があり、嫌味のない書き方で書かれていると感じました。

通勤電車の中でこの本を読んでいたのですが、日本で暮らしていたら信じられないようなハードな話ばかりで、胸がつぶれる気持ちにさせられ、電車を降りて歩きだすときにいつも目に涙がたまってしまう。
この本が出版された当時(20年ほど前)、世界できれいな水が飲める人の割合は15%だった、というのを知り、私はおいしいものを食べるのが好きだけど、きれいな水があれば十分、と思うようになった。

昔から食べ物を残すのは生き物を殺すのと同等のことに思えて、無理をしてでも完食をするようにしてたけど、それでも、恵まれた国で恵まれた家庭に生まれ、何不自由なく暮らしてるのに不平不満言ってすいませんくだらないことで悩んでてすいません、恵まれない子どもたちに何もしてあげられなくてすいません、と思った。

もちろんそんな風に思わせるための本ではないのだけど、そう思うんだったら「与える側」になりなさい、ということなのだと思った。これが私なりの結論。
ハードな内容だったけど、読んでる間、読んだあともこの本のことで頭がいっぱいになり、いろいろと考えさせられた、こういった「心の世界旅行」をさせてくれる本にこれからもたくさん出会いたい。


そのあとに「窓ぎわのトットちゃん」を読みました。
こちらの方が書かれたのは前なので読む順序が逆だったかもしれないが。

小1で退学させられたトットちゃん(黒柳徹子さん)が転校先のトモエ学園の校長先生と初めて会い、
校長室で二人きり、なんでも話してごらん、と言われ、トットちゃんはありったけ4時間喋りつづけ、それを飽きもせずにニコニコ聞いてくれて、その先生が大好きになったというシーンがあり、

「トットちゃんとトットちゃんたち」の方に出てきたシーンで、
ある病院で、食べ物だけでなく愛情に飢えてる子どもが、療養食(といっても粗末な飲み物だが)をもらっても反抗して飲まない、そこに大人トットちゃん(黒柳徹子さん)が「飲んでごらん」と促すと、飲み始めた、そして、「ねえあなた、今度からこういうものをもらったらちゃんと飲まなきゃだめよ」と言い聞かせたら、わかったように頷いた、というのがあり、

子どものころいい大人に出会ったトットちゃんが成長してああなったのか、と思うと、それだけでまた目に涙がたまる。


私はそれと、「それからさあー」の章が好きです。

お弁当の時間は全校生徒50人が講堂に集まって食べるのだが、そこで日替わりで1人ずつ真ん中に立ってお話をする、というルールを校長先生がつくった。

ある日頑なに「話はない!」と言っている子に
校長先生が「朝起きて、学校に来るまでのことを思い出してごらん」
といい、
「えーと、朝起きた」
「お母さんが歯をみがきなさいっていうから、みがいた」
と、話す度にみんなが身を乗り出して聞き、
最後に得意げにその子が

「それからさあー、学校に来た!」

と言うと、先生とみんなが拍手喝采をして、その子自身も拍手した、というシーン。

校長先生は「面白いこと話したら偉いというわけじゃないんだ。話がないといっていたきみが話を見つけた、ということが大切なんだ」と言った。

私は小1〜2のころは手を挙げて発言する、なんてことはこわくてできなくて、スピーチなんて制度があったら先生を恨んでたところだけど、それは先生やみんなに認められるようなうまいことを言わなきゃいけない、と思ってたからで
、こんなにあたたかいクラスと先生に出会えたらすぐに克服できただろう。


「窓ぎわのトットちゃん」は本が苦手な人でも読みやすく、小学生でも読めるけど特に子育てしてる人におすすめです。手に入れるべし。


この記事が参加している募集

#読書感想文

187,854件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?