見出し画像

冬の日の記録

「今年もあと僅かになりましたがね、」テレビでお笑い芸人がマイクを挟んで笑っている。

ふと、数年前の自分の投稿を見ていたら「こんなこともあったっけ。」と日々の何気ない瞬間が記されていて、温かくて有難い気持ちになった。年末に思い出すべきことって、こうゆうことでもいいんだなって。だから楽しかった最近のある冬の週末のことも残しておこうと思う。

金曜日は仕事終わりに大学時代の友達と呑む。飲屋街の近くに住んでいるものだから、皆んなで終電を気にせずに大いに飲んでしまった。狭い路地にネオンライトがプラプラしていて楽器を背負った若者や外国人のおじさんが笑っている。地下に潜ったら圏外で、どこまでも続く覚えてもいない言葉が心地よかった。

明け方の少し前に缶ビールを片手に友達と歩いて帰る。明日中華を食いに昼また会おうと約束をして別れる。布団に倒れ込んで目覚めたのが、土曜日の午前10時。

鉄みたいに重い脳みそとなぜか痛い肘をゆらゆらさせて、中華料理屋へ向かう。同じような顔した昨日の仲間が再集合する。レバニラとチャーハンとラーメンと、懲りずにビール。たらふく食べて散歩をして帰る。

今日は日曜日。友達の子どもの子守りをしに海の街まで向かう。生まれる前から大好きな小さな友達。ママチャリを走らせて一緒に公園で一日遊ぶ。昨日までの飲んだくれ大学生みたいな私はどこへ行ったのだろう。

あっちこっちよちよち歩きで充電が切れるまでひたすら冒険し、道ゆく人の言葉を拾って真似をしようと口を動かす熱心な姿に感動する。暫くすると疲れたのか、私の膝の上で眠ってしまう。その間に日記を書いて、1時間ほど経つとむくりと起きてきた。

冬の公園。ベンチに座っておやつを食べる。足りないので自販機でコンポタージュを買って半分こする。「おいし」と笑っている。赤と黄色に木々が光ってるので、もう少し遊ぼう。

小学生がサッカーの練習をしているところに突っ込んでいく小さな友達。慌てて止めようと追いかけると、小学生のサッカー少年は小さな乱入者に向かって姿勢を正し、「こんにちはっ!」と一礼する。子どもの世界、なんて尊いのかしら。後ろで夕焼けに佇む紺色の富士山がどんと構えていた。

慣れない運転でお家へ帰る。揺れたよね、ごめんね。また、遊びに行こうね。そうして海の街から、バスに乗って電車に乗って、またこの街へ帰ってきた。

シャワーを浴びてお味噌汁とビールを飲んで、テレビを観ながら今こうして日記をつけてる。「良いお年を」と言ってお別れをした今日。色とりどりの日々が、今年が、もうすぐ閉まっていく。デザートの柿を食べて、もう寝てしまおう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?