見出し画像

平日のうた、休日のうた

昨日は祝日でしたね。いつもの渋谷駅の中を、乗り換えのために歩いていたら、平日との違いにびっくりしました。

なんと言えばいいのだろうか。当たり前なんだけれども、皆んなの足音や風景が違いすぎて、例えば、誰かの歌をいくつか聴いて「これ本当に同じ人が歌ってるのかしら」と思ったときと丁度同じような感覚になった話。

いつもの平日は、真っ黒な行進曲みたい。
皆スーツに身を包まれて、基本的に黒っぽいから、お正月の前にお鍋で揺れる黒豆のよう。
そして一番迫力あるのが、どんなスピーカーより耳に響くドッドッドッドっというあの足音。多分、みんな無意識で周りの人に動きを合わせているのだ思います。それはたぶん社会人モードONの協調性が作り出したハーモニーですな。百人以上の人々が、一定のリズムで靴を鳴らすものだから凄い振動を感じる。
それは何年も積み重ねた一歩一歩。皆、楽しいこと、大変なこと、守りたいこと、もうやんなっちゃうことを、知らないうちに背負って、無になって歩いてるということ。だからなんともいえない迫力があってちょっと怖いけれども面白い。

それに比べて、休日。平日を聴いてしまうと本当に同じ渋谷を通る民が鳴らしているのかと疑ってしまうくらい、パラッパラです。
皆好きな服を着て、でもどちらかというと冬なので茶色や白が多くて、ちらほらカラフルもちらついて。私の好きなエビピラフみたい。
足音も皆好きな歩幅でぱらっぱらっと鳴り響きます。きっと隣にいる友達や恋人や、このあと待ってる楽しい出来事や今日だからこそ行かなきゃならない場所の事を考えて、自分だけの足音を鳴らしているんですな。平日より迫力はないけれど、なんとも身軽で陽気なうた。

どっどっどっど

ぱらっぱらっぱらっぱら

毎日、違う何百人が鳴らしてる。全くおんなじ音はない。平日のうたと、休日のうた。今まで気づかなかったけど、ちょっと耳をすませると、面白いことがたくさんある。

昨日の小さな発見でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?