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新しいスタートによせて

私の大好きな選手が新しいシーズンの契約を結びました。なので、これから、あくまで観戦しているだけの私から見て、どのような選手なのか、という話をしたいと思います。

今回、友人であるおかさんが撮影された素晴らしいお写真を何枚か掲載させていただいております。ありがとう、ほんとうに。素敵すぎて。心から御礼申し上げます。

彼は8シーズン目を迎えます。日本で長くプレーされている方です。

日本でのキャリアは鹿児島からです。NBDL得点王を受賞しました。
Bリーグ開始時には当時B2の東京エクセレンスに所属し、アリーナ問題での降格がシーズン終了前に決定されました。

翌シーズンは当時B2の金沢武士団と契約するものの、年を跨いだ際にアースフレンズ東京Zに期限付き移籍をします。

2018-19シーズンからは当時B3の越谷アルファーズで、カイル・リチャードソン選手、ジョシュ・ペッパーズ選手(当時は帰化申請枠登録中)と共にアルファーズを昇格にまで導きますが、B2B3入替戦では外国籍3名となるためDNP。

翌シーズンのB3豊田合成スコーピオンズでは企業チームの一員として首位争いをするものの、シーズンは途中で終了しています。

直近の2020-21シーズンは特例措置の短期契約でB1島根スサノオマジックにてプレーしたあと、B3ベルテックス静岡に加入し、途中から帰化が通り、登録変更して昇格権利のかかる2位争いを最終戦までしますが、岡山に敗戦を期しています。

所属していたチームの順位はよいことが多かったですが、決して順風満帆とは言えないキャリアです。私も、悔しい思いは何度もしましたが、ルーク選手は、毎年日本でプレーをすることを選んでくれています。

ルーク・チャールズ・エヴァンス 

1991年3月16日生まれ(30歳)
アメリカ、カリフォルニア州・サンディエゴ出身

身長:203センチ
体重:100キログラム
PF・右利き

出身校
エルカミノ高校
カリフォルニア・バプティスト大学

2013-14 シマロネス・デル・チョコ(コロンビア)
2014-16 レノヴァ鹿児島
2016-17 東京エクセレンス(立川ダイス)
2017 金沢武士団
2018 アースフレンズ東京Z(立川ダイス)
2018-19 越谷アルファーズ(立川ダイス)
2019-20 豊田合成スコーピオンズ(立川ダイス)
2020 島根スサノオマジック
2021 ベルテックス静岡(立川ダイス)

※ (立川ダイス)とあるのは、夏は3人制の選手として立川ダイスと契約しているからです。
※2017-18シーズンは1月からアースフレンズ東京Zにシーズン終了まで期限付き移籍しました。
※島根スサノオマジックとは新規外国籍選手の入国遅れの特例措置として短期契約を結びました。
※Wikipediaはこちらです。

エヴァンスルークという選手

帰化選手として最初から迎える新しいシーズンとなりました。スタッツデータはいつものバスナビさんからです。ありがとうございます。

7シーズン
出場時間平均 26.0分
得点平均 14.7点
3ポイント平均 29.7%
2ポイント平均 53.4%
フィールドゴール平均 49.2%
フリースロー平均 51.4%
トータルリバウンド平均 8.5本
アシスト平均 1.8
ターンオーバー平均 1.9

高校から(ちなみに、日本で長く活躍していたジーノ・ポマーレ選手と同じ高校出身です)鹿児島時代までは、ビッグマンがあまりいない編成だったため、センターに近いプレーをしていたと思われます(思われます、なのはこの時代は映像でしか見たことがないからです)。

東京エクセレンスの時代からは、現在の登録であるPFに近いプレーができていると思います。
ルーク選手はスリーポイントも打つので、ストレッチできるインサイドプレーヤーです。また、ルーク選手は自身の長所を「ハードワーク」、プレースタイルを「オールラウンダー」としています。

適応と順応

ルーク選手は203センチありますが、写真からも推測できるように関取タイプではありません。センターとしての経験を活かしながら、スリーポイントからインサイドプレーまで幅広く適応し、勤勉にプレーし続けることで日本で選手として活動しています。

また、3人制バスケットでの(2016,18,19はプレミアEXE得点王とリバウンド王、2018には日本選手権優勝、2018,19はプレミアEXEシーズンMVPです)経験から、ガードタイプの選手へのディフェンスについても順応していきました。

苦手なものは特にない、そうフリースロー以外は。なかなか安定していませんが、近々の所属であるベルテックス静岡ではルーティンの改善に努め、過去最高の確率にはなりました。

プレースタイル

先程も書きましたが、ハードワーカーで、オールラウンダーとは何か、ということです。ディフェンスは一応全ポジション守れます。ダンク、ターンアラウンド、スリーポイントは全ての角度、ミドルもフェイダウェイも打ちます。ドライブも仕掛けられますし、ボックスアウトも怠らず、リムランもしますし、ボールプッシュもやることはやれます。1Qから4Qまで、走り続けられる我慢強さもあります。

ここからはかなり、私の個人的な意見になります。さて、動いている状態で、彼に特に目立った大きな穴はありません。唯一無二の好きな選手なのにリスクから書きますが、それはつまりどこかでズバ抜けたスタッツをマークするわけではない、という裏返しでもあります。

突出したスキルを繰り出す1stオプションになり得る選手のように、毎試合30点取る、ブロックしまくる、スリーポイントを入れまくる…などの役割だけを与えると、比較すれば、物足りない印象を受けるかもしれません。なので、専任させることは必ずしも上手い使い方ではない、と感じています。

だからこそ、どの時間帯も出場できる帰化選手としての資格を得たこれから、どれか一つに限定するのではなく、様々な役割をバランスよく担うことで、オールラウンダーとしての良さを引き出せたら、チームとしても面白いバスケットになるのではないか、とも思います。

前所属のベルテックス静岡では、ムッサ・ダマ選手と併用し5⇄4番的な起用法でしたが、帰化選手という登録の特性を活かすのであれば、4⇆3番的に配置することも考えられると思います。

彼自身はハードワークを長所と言いますが、私はそれに加え、高いバスケットボールIQも長所だと思います。

ルーク選手はフロアバランスや時間管理に敏感です。ゲームの状態を見極めてスコアリーダーにアシストをし、行き詰まった際にはスコアをし、ボールプッシュをし、タフに走り続け、全ポジションの相手にディフェンスをし、チームメイトのヘルプに駆けつけることを厭わない選手です。出ている全ての時間、そうします。

献身性という概念

検索をすればすぐにヒットしますが、ルーク選手に関して美しさを捉えていただけることが多いです。整った造形、腕には日本で鯉を、アメリカで蓮を宿らせました。

ただ、そう思って観に行くと、はっきり言えば、綺麗な顔をして地味で泥臭く、目立たない仕事を黙々とするタイプです。ゲームタイムでダンクはあまりしませんし(3人制は戦術上有利に運ぶ場合はします)汗だくで走り続け、身を呈して仲間のチャンスメイクに努めることもとても多いです。

私はそれをバスケットボールに尽くす、とよく表現しているのですが、端的に献身性でチームに貢献する、と言い換えてもいいでしょう。それをシーズン全ての試合でやろうとすることは、観ていただける方にはきっと気づいてもらえるのではないか、と思います。彼の本当に素晴らしいところなのです。

なるべくリーガルに守り、犠牲心が強く、タフで、サボることの少ない姿勢が私は観ていて好きで、感嘆します。

冷静と情熱のあいだ

最後に、もう少し感覚的な話をします。当たり前のことを、当たり前に、ひたすら黙々とバスケに尽くし続けるルーク選手ですが、人一倍情熱的な面を内に秘めている選手でもあります。

彼が尊敬しているのは、かのコービー・ブライアント選手です。ルーク選手は毎年、勝ちたい、という抱負を述べます。チームの勝利のために、チームメイトと力を合わせて、全試合全力でプレーし、心の奥には熱い炎が燃えています。

時折噴出するそれは、私にとって喜びと幸せのひとつです。このお写真が、私はいちばん好きです。いつもはクールで、我慢強いルーク選手が、粘ってインサイドをこじ開けてアンドワンを獲得し、吼えるところです。

ただ私が、観てきて感じた、いいことも、そうでないことも、忌憚なく書きましたが、私は全てひっくるめて、頑張り屋で、努力を怠らない、1分1秒を全力でプレーするルーク選手の体現するバスケットボールが大好きです。

これから、きっとさまざまな評価に晒されるでしょうし、乗り越えなければいけない壁もある、と思います。戦術も役割も高度になり、一筋縄ではいかないこともあるでしょう。

また、帰化に関しては様々な捉え方があると思いますが、現在はかなり書類審査や日本語能力の試験が厳しく、日本人の配偶者や家庭があるわけではないルーク選手にとっては、かなりの継続した努力が必要だったのではないか、と私は思います(決めてから、丸3年かかったそうです)。

私はルーク選手が日本で、日本人として、バスケットボール選手として、存在し続けることにこだわってくれたことがひたすらに、嬉しいです。

新しいチャレンジが、実りあるものになることを、そして、新しいチームに貢献できることを心から祈っています。



私は、いままでもこれからも、観に行き、応援するだけです。

2021.06.

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