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季節の「匂い」

朝、家を出たときに、大きく息を吸い込む。
これは私の習慣の1つだ。

「スーーーーー、ハァーーー」
鼻から大きく息を吸い込んで、口から吐き出す。

その日の『匂い』は、私に季節の訪れを教えてくれる。

春、お花のフワッとした香りと花粉が入り混じった、鼻をむずむずさせる『匂い』

夏、清々しい朝の始まりを伝える、爽やかな『匂い』
梅雨になると、雨が濡らした土や草から放たれる、植物独特の『匂い』

秋、空気が軽くなり始め、どこか優しさを感じさせる『匂い』

冬、寒さが厳しくなり、綺麗で透き通った美味しい『匂い』

匂いを美味しいと表現するのは不適切だと思うのだけれど、冬の匂いが1番美味しく感じるのは、それ以外に表現ができないのだ。


日々すぎていく中で、季節の『匂い』は確実に新しい1日がやってくることを教えてくれる。

「あぁ、またこの季節がやってきたんだな」
と、季節の訪れを教えてくれる。

都会に暮らしていた頃は、この『匂い』を感じることができなかった。
せわしなく過ぎていく日々のせいなのか、足早に歩く人々に自分が埋もれてしまうせいなのか、たくさん行き交う車にかき消されているのか…

理由はわからない。

けれど、朝起きても深呼吸することなく、音楽を聴いて職場に向かう私は、季節の『匂い』を感じることを忘れてしまっていた。


実家に帰ってくると、空気が美味しいと感じることが以前よりも増えた。
朝、外の空気を吸って季節の訪れを感じることができる幸せを思い出すことができた。

季節の『匂い』を感じる方もそうでない方も、明日は今日と違う季節の『匂い』があなたを出迎えてくれる。
朝家を出たときに、大きく息をうい込んで、口から息をはく。

「スーーーーー、ハァーーー」

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