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洗顔のケースから見える物語

先日授業の中で「ゴミになった物が私たちの手元に来るまでの物語」を作るというワークショップがあった。

私はいろいろある中で、いつもお世話になっているLUSHの洗顔ケースのストーリについて考えてみた。
理由はいろいろあるが、この容器がリサイクルの容器だったからだ。

LUSHは自店の容器を独自に回収して、リサイクルするという取り組みをしている。
つまり、自分の今手元にあるこの容器も、
前世はまた違う人生だったのかもしれない。
そう思うとすごく面白いなと思うようになり、書いてみることにした。


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僕は今、2度目の人生を生きている。
前は、クレンジングのケースだった。使ってくれたのは、東京に住んでいるショートカットでアイメイクが少し濃いお姉さん。いつも忙しそうに働く強くカッコいい人だった。そんな強い彼女の肌は乾燥肌だからぼくのクレンジングがとても役にたった。
彼女は昔から僕のお店のユーザーでお店で新しいものを買い換えると同時に、お店に僕を預けにきた。僕は彼女の幸せを願いながら後輩にバトンを渡し、一度工場に戻り、洗顔料の部署に移動した。そして、大阪に住む彼女のもとにやってきた。

彼女はまだ学生。見た目はしっかりしているけれど、次にどういう道に進もうか迷っているすこし素朴な女の子。彼女は乾燥肌かつ敏感肌で、市販の洗顔料を使うと季節の変わり目に荒れてしまう。さらに、彼女は新たなチャレンジのために引っ越しする予定。住む場所が古いから不安で、香りだけはいいものを持って頑張ろうと思い自分を選んでくれたらしい。僕にいい出番が回ってきたわけだ。結局僕は岩手県に来て、毎日彼女のお風呂の時間を甘くした。
振り返ってみると、僕は関東にも関西にも東北にも行ったことがある。普通の人間よりもいろんな旅をしているのかもしれない。多分彼女は僕が空になったらわざわざ大阪まで持って帰って、またお店に運んでくれるのかな。
僕は次に何物になり、誰と出会い、どんな場所に行くのだろう。

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こんな簡単な物語だけど、私はとても新鮮だった。
いつも自分の手元に置くものは気を付けて買っているつもりだったけれど、
自分の手元に届くまでのことなんか考えたこともなかった。

だけど、ストーリーを考えてみた時、
その洗顔ケースからいろんな人の顔が見えたような気がした。

それは前に使ってくれていた人だったり、
接客をしてくれたスタッフさん、
あるいは一生懸命作ってくれている工場の方の顔だった。

ものを買う時、つい捨てる時のことばかり考えてしまう。
自分のものは減らさないといけない…と。


だけど、自分の手に届くまでのことを考えると人影が見えて、
もっとこころは温かくなるし、使っている今を最大限大事にしてあげられる気がする。

未来は今の連続が積み重なってできているものなのだから、最初はやっぱり使っている間最大限リスペストして使いたい。

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